第24話 純白の天使。

「行くよ! シルヴァ!」


「オッケーセリーヌ!」


 ボクは左手を天に掲げる。光の粒子となったシルヴァがその掲げた左腕に絡みつき、銀色のガントレットへと変化して。


 純白のゴシックドレスにそのガントレットから黒い線が伸びる。


 両肩にショルダーアーマーが生まれ、胸部と背中にもガードができる。


 背中にはエンジェルウイング。そして右手には黒い手袋。


 額にはやっぱり銀色のサークレットがはまる。


 魔・ギアはシルヴァ以外にもう三個、ボクの手元にやってきた。


 手袋と翼とサークレットの部分がそれ。


 サークレットは古道具屋で見つけて買ったんだけど二束三文で投げ売りされてた中にあった。


 あまりの安さに「これ、おもちゃ?」って聞いちゃったくらい。


 実際宝石みたいなのが散りばめられた銀色のサークレットなんだけど、材質が不明だから安いんだとかいう話で。


 ただ、なんだかすっごく気になって。さわってみるとすごく馴染む? そんな感じ。


 きっとこれはボクに買われるためにここにあったに違いない、そんな運命のようなものを感じで買っちゃったのだ。


 まあ本当に運命だったのかもだけれどね?


 装着してみて実感した。これは、ボクのだ、って。


 ボクがボクになる前にボクから別れた存在、そんな運命の再会。そんなロマンチックな話じゃないけどね。


 でも、そう思える存在だったのだ。


 メーティス。


 頭にすっと浮かんだこの子の名前。


 ボクの中に溢れてこぼれ落ちたと思ったキオク、知識の奔流が、このメーティスの中にちゃんと有った。


 本当にどうしてなのか不思議なんだけど。




 エンジェルウイングは……。


 普段大気の中に、ううん、10次元の空間の中に潜んでいるギアの中でも空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。


 そのアウラ達が集まって。ボクの周りで翼の形に凝縮した、そんな感じ。


 アウラのツバサ。


(マッテタヨ)


(ダイスキダヨ)


 そんなあたたかい感情が流れ込んで来てすごく幸せな気分に包まれた。


 ボクが行きたいところに運んでくれるツバサ。


 そんな天使の羽が純白のゴシックドレスに映える。


 銀色に輝くサークレットとともに、ボクの姿を天使のように魅せて。





 手袋は。


 これはいつのまにかボクのレイスの中にあった。


 っていうか、レイスの出口の象徴?


 力の出方、魔力のコントロールをしつつ、この手袋で触れたものをレイスに取り込んだり、そんな役割。


 メーティスによればこの手袋によって重力のコントロールも可能になるらしいけどまだそこまで使いこなせてない。


 浮かんで来た名前は、アトラス。どこか悲しげな神様の名前。







 そんな魔・ギア達を駆使しモンスターを狩る。


 結局いまボクはこんな冒険者みたいな事をしながら暮らしてる。


 今日も目の前のビッグバファロウと対峙して。


「シルヴァストーム!」


 シルヴァから放たれた白銀のビット。


 その無数のビットの奔流がビッグバファロウに襲い掛かった。



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