第18話 オーバーヒート。

 心の中の、どこか。


 それまで閉じ込めてあった何か?


 それが溢れてくる。



 記憶?


 じゃ、ない。


 記録?



 とんでもないほどの情報、の、奔流、が。



 ああ、ダメ。


 受け止めきれない。



 掬おうと思って手を伸ばしたけど、両手の指の間からこぼれて落ちる。



 って、心の中に手があるの?


 そんなことをふっと考えて。




 零れ落ちたデータの奔流は、ある一点から漏れていくような、そんなイメージで。



 その出口。


 ああこれが。





 これがボク《あたし》の心のカタチ。





 そしてこれが、出口。マナの出口。




 そして……。





「トリップは終わった?」


 え?


「今君、自分の魂の根源に触れていたよね。レイスの中に潜って、さ」


 ああ。あれがレイス……。


「だったらたぶんもうマナをコントロールすることもできるようになってるかもね」


 そう、かも。


「念に指向性持たせることもできるでしょ?」


 う、ん。わかる……。


レイス。君の内なる世界。そこに自身をトリップさせることができるのなら、きっと君は自由自在に魔力を操ることも出来るはずだからね。莫大な量の情報の奔流? ああ、たぶん殆どが魔法陣の情報だと思うけどね?」




 心の中が、熱い。


 なんだかオーバーヒートしちゃってる?




 ボクはそのまま意識を失ったらしい。気がついた時にはカーテンの隙間から朝陽が差していた。

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