第14話 リザードドラゴンの素材。

「う、く」


 あ、気がついた。もう大丈夫かな。


 ボクはゆっくりと立ち上がると振り返ってこの人のお仲間さんに声をかけた。


「たぶん、もう大丈夫です。何か飲み物でもあげてくださいな」


 そう言って少し離れる。


「ああああ。ありがとうございます。聖女様!」


 一番がたいの大きい男の人がそう言うと、残りの男女、男性二人女性二人は怪我をした彼のもとに駆け寄った。


「マーシー、大丈夫か!?」


「もう、心配したんだから!」


「ああ、わるい、おれ、どうしちゃったんだ?」


「ドラゴンに殴られて血を吐いて倒れてたの。そこの聖女様が治して下さったのよ?」


「マーリン、まじ? おれ、ひょっとして死にかけた?」


「ああ、死にかけた死にかけた。助かって良かったけどな」


 わいわいがやがやはじめた彼ら。


 うん。じゃぁこれで。


 って思ってそのまま歩き出そうとしたボクにさっきに大きな人が。


「あ、待ってください聖女様。リザードドラゴンの素材をどうかお持ちください!」


 って。


「だって、これはあなたたちが狩をしてた獲物でしょう?」


「しかし、結局そちらのお連れの方が倒してくださったわけですし……」


「おれはセリーヌさまに頼まれて手助けしただけだ。狩の邪魔はする気なかったんだけどな」


「シルヴァもそう言ってますし。怪我人が居たからちょっと手助けさせて貰っただけですからね」


「ですから、そのけが人も治して頂き命を救っていただいておいて、獲物だけ我々が回収したのでは申し訳ありませんよ」


 うー。


 でも、素材って言ってもよくわかんないし。


「せめて牙なり爪なり高価な部分だけでもお持ちください。今から解体しますから!」




 結局押し切られたボクはそのままちょっと待つことに。


 魔法使いのマーリンさんがお茶を入れてくれて。


 ふうふうしながら解体現場を眺めてた。



 って、リザードとはいえドラゴンって名前がついてるだけあって硬いっぽい。


 なかなか苦戦してるね。


 ナイフもなかなか通らないし。


 魔法をナイフに纏わせて少しずつ切り開いていく。


 シルヴァに手伝わせたらたぶん速い、けど、さすがにこういうのには手を出せないよね?


「あ! まさか! ううん。ねえ。セリーヌさまって、もしかして王国の大聖女セリーヌ・マギレイスさま?」


 と、ボクの顔をまじまじと見ていたマーリンさん、何かを思いついたとでもいう感じで手を叩いてそう言った。

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