すゞめの嘴
雪華すゝ゛め
夜の時間
私が小学生の頃、親には「夜の時間」というものがあった。子供にそんな秘密を作ったら、何をしているんだろうと考えないわけにはいかない。
私は布団の中で、頭を一生懸命に働かせて、大真面目に、夜の時間、親は二人で何をしているんだろうと考えていた。
一つ目の説は一番簡単な、「テレビを見ていた。」説だ。あの頃の自分(今もそうだが)の暮らしの中心はテレビであった。だから、私が寝た後、二人でドラマを観ているんだと思った。
二つ目が「プリキュアになっている。」説だ。まあ、あの頃の私にはプリキュアは神様だったから、無理もない想像だ。お母さんは私の変身ベルトを使って変身し、お父さんはお母さんを応援するカフェの店員になっているというものだ。
そう思い始めると、不安で仕方なかった。お母さんはけがをしてはいまいか。しかし、なぜか私が変身して助けに行こうと思ったことは一度もない。
三つ目は、「話し合い。」説。これは有力であった。「ヘンゼルとグレーテル」という物語の中心は、幼い私にとって「お菓子の家」ではなく、「親に森に置いて行かれる」だった。だから、親は私のことを捨てるんじゃないかとか、私が完全に寝た後に、布団ごとひっくり返して、翌朝私を叱る口実を作っているのではないか。(私は大変寝相が悪かったが、自分で動いたとは考えられず、親のせいにしていた。)と思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます