4話 結局なんの乙女ゲーム?

 殿下から番認定をされてから3ヶ月が経ちました。その間とてもとても大変でした。

 まず、国王陛下と王妃様に挨拶に行って、貴族の令嬢としての最低知識は叩きこまれているけれども所詮、下級貴族にすぎません。上級貴族としての知識は全くありませんので、王子妃教育が始まってしまいました。


 殿下のクラスに変わってしまったので、今まで下級貴族同士和気あいあいの雰囲気だったのに、気が抜けない、クラスになってしまいました。


 そんな中、例の事件が起こったのです。学園内の森の中に迷宮ダンジョンが出現したのです。

 皆さん校舎内で授業中であったため被害は無かったのですが迷宮から魔物が溢れ出てきて、先生方、隣の騎士養成学園の先生方総出で対応されました。

 一番活躍したのが、あのツルピカ学園長だったようです。筋肉は本物だったようでが 、魔術師なのかもあやしいとは思います。しかし、学園の庭師の方が被害に会われたのも事実だそうで、当分の間、休校になりました。


 私は失念していました。攻略対象はいるけど全くもってイベントも何も起こらないし、想定外に殿下の番認定されてしまうし、もうこれは、ゲームとは別物だと思っていた矢先に迷宮が出現した。これって誰が迷宮の中に入るの?私無理だよ。聖魔術なんて使えないよ。

 探索を冒険者に頼むのですか。Sランクの聖女?それは冒険者なんですか?聖女なんですか?


 聖女の話が出るとおかしな反応した人が2人います。

 はい。いま殿下もといラン様の執務室にいます。メリッサです。


 一人は目をランランに輝かせて『ウォー』と叫んでいる、筋肉ウサギ。

 一人は青い顔をして、ガクガク震えだした、カエルに睨まれたヘビのような顔をしている失礼なヘビ男。その2人が正反対の反応を示したのです。

 これは、どう解釈すればいいのでしょう?尊敬できる人なのか。怖い人なのか。2人の反応に困っていると殿下が


「聖女様はやるべきことを仕事と割り切っておやりになるから何事もスムーズに事が運ぶのだけど、聖女様の弟のことになると人が代わった様になるんだよ。」


「弟ですか。」


「そう。今は騎士養成学園に最終学年でいるんだけど、メルスがその聖女様の爆裂ボムを踏み抜いてね。色々あったみたいなんだよ。だから、そっとしておいてあげて。」


 と殿下が遠い目をしながら話してくれました。




 聖女様が学園にできた迷宮の探索に来てくれることになりました。聖女様お迎えするために、学園長、教師の先生方そして生徒代表で王族であるラン様、その番の私メリッサが門の前で待ちます。どの様な方なのかドキドキします。


 一台の馬車がやって来て門の前で止まりました。中から扉が開き、赤い色をまとった金狼族の男性が出てきました。

 スッゴイイケメンなんだけど、殿下と知り合いなのか、手を上げて「久しぶり」っと挨拶を交わしています。知り合いですか、そうですか隣国のラース公国の第二公子ですか。

 次々イケメンが出てくるのですが、聖女様を想像するのが怖くなってきました。どんな女性ですか。 


 きゅるるん可愛い系で逆ハー築いちゃいましたか。それとも女王様でイケメン達を従えちゃいましたか。


 5人目にエルフ族が出てきました。もう、神秘的に美しいとしか言いようがありません。シャーレン精霊王国からあまり出てこないのと、初代聖女がいらした国っと言ってプライドの塊のような種族だと聞きます。

 『邪魔』との言葉と同時にエルフが馬車の中から蹴飛ばされました。え?もしかして聖女様が!


 竜人族の男性が馬車の中へ手を差し出します。中なら女性の手が出てきて、ドキドキ。

 スッゴイ美人さんです。黒髪で存在感がすごくて姐さんっと呼びたい感じですが、無表情です。なんだか立ち姿はお人形さんみたいです。

 『申し訳ありません。ご主人様。』先程のエルフが土下座してます。プライドの塊のエルフがご主人様呼び!聖女様はエルフをゴミ虫を見るかのような目で見ています。


「わざわざ来てもらって悪いな。嬢ちゃん。」


「最近、トーセイの街で見ないと思ったら、左遷ですか?ギルドマスター。」


 ギルマスでたー。納得です。あの筋肉はギルマス仕様なら納得です。


「こんなご時世だからよう。若い者を育てるのもいいだろう?」


「隣と間違えてませんか?」


 教師陣もうんうんと頷いている。みんな同じこと疑問に感じてるし!


「なぜか。断られたんだなこれが。予算がかさむって言われてな。報酬の話はしてなかったのにおかしいな。」


「破壊総額と修復費を合わせると学園側のメリットが無かったのでは?2年前でしたか、結局でしゃばって、一つ山を消滅させましたよね。」


 山一つ消滅!ああ、エ○ァのあの大八州作戦を展開するほどのラミ○ル並みの破壊力が!


「それはそれ。これはこれ。じゃ、ダンジョンの件頼んだぞ。」


 といってギルマス・・学園長は去っていった。


「それじゃ私が案内しよう。」


 そう言って殿下が前を歩き始めた。ついて行かなきゃいけないですか?そんな、逆ハーレム築きましたっていう感じのイケメン達を連れた美女の中に加われと?このモブでしかない私にいうのですか。


 もう、声を大きくして問いたい。

 ここは私が知っている乙女ゲームの世界じゃないの?それとも別シリーズがあったの?


 誰か教えてくてないかなぁ。



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補足

 爆裂ボムを踏み抜く=地雷を踏み抜くの同意味です。



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 ここまで読んで下さいましてありがとうございました。この話はここで終わりになります。


 「番とは呪いだと思いませんか」の2年後の話になっております。

 攻略対象で出てこなかった2人はそちらに出てきます。


 あと、一話この世界の乙女ゲームになり得なかった補足として入れさせてもらいますが、「番とは呪いだと思いませんか」のネタばらしも入っていますので、それが嫌だと思う読者様はバックでお願いいたします。

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