灼熱
昼ごはんを買いに外に出た。アスファルトを照り付ける太陽の光が乱反射して、強烈なまぶしさだった。私は目を細めながら信号を待った。じりじりと真上から照り付けられて、まぶしさを和らげるために目の上にかざした手の甲と腕がヒリヒリとした。しかし、朝からクーラーが効いた社内にいた私は、その太陽の強烈なエネルギーを受けて、気持ちよいと感じた。太陽のエネルギーが私の肌を徐々に熱くして、冷えた体の中心まで熱くしてほしかった。
前を歩く男の背中が目に入る。水色のYシャツは、汗に濡れた部分だけが濃い青色になっている。筋肉が厚く付き、程よい脂肪をまとわせた男の背中をなまめかしく感じた。男は背も高く、いわゆる「がっしりした」体系である。私は、このような男に弱い。街の中でそのような男を見つけるたびに、心が意図せずに熱くなる。自分が抱かれる想像をする際の無名の男は、いつもそのような男であるし、なんと恐ろしいことに、そのような男と出会いたくて、出会い系サイトに登録し、実際に出会ったこともある。
そのような異常なほどの嗜好をなぜ自分が持っているのか、考えたことがある。その理由は、おそらく憧れであると思っている。自分が持っていないものを持っている者への憧れ。私の父の背は、日本人男性の平均身長よりも低く、ずんぐりむっくりとした体形は私も若干だが引き継いでいる。私の弟は母に似ていて、背が高く腕や足が長くてすらっとした細身の体系だ。たくましいというよりも、引き締まっているいわゆる細マッチョ体系である。そのような家族に囲まれて育ち、自分にもその血が流れているから、自分にはない要素を持つ男に、異常なほどの好意を持つのではないかと、私は自分を解釈している。男は曲がり角を曲がって、見えなくなってしまった。私は少し残念なような、寂しいような感覚を覚えながら、すぐ前のコンビニへ入った。冷やし中華と豆のサラダを買って、コンビニを後にした。
会社への帰り道、ふと彼のことを思った。彼の姿を頭の中で描く。彼の胸板はどのくらい厚かっただろうか、背はどのくらいだっただろうか。うまく思い出せない。私は、彼の外見的特徴を好きになったのではないということに、その時気づいた。そうか、私は彼の魂に惹かれたのだなと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます