第18話

「それじゃあ、告白できたんだね!?」

「シーッ!!香織!!声大きい!!」


4人で花火をしてから数日後、部活の集まりがあった。香織には直接報告したかったので、集合時刻より早めに呼び出して話を聞いてもらっていたので、まだ誰もいない部室だが、いつ誰が入ってくるかわからない。


「私とナギちゃんが買い出しに行ってる間にそんな展開になっているとは…」

「そんな展開にしたくて2人きりにしたんじゃないの?」


やれやれと言わんばかりに言う香織にジトッとした目を向ける。コンビニまでは歩いて5分程度なのに2人は30分近く帰ってこなかった。


「いや、まぁそうだけど…。とにかく頑張ったね!!」

「そうだねぇ…」


ふぅとため息を吐くと、香織がズイッと顔を近づけてくる。


「で?」

「で?」


何のことかわからず、聞き返すと


「で?じゃないよ!返事は?」

「あぁ…えーっと…少し待ってほしいって…」

「なんで!?」


ーなんでと言われても…。遼は香織が好きで、まだ気持ちの整理が必要だから…。

なんて言えるわけもなく。


「私のことそんな風に見たことないから、考える時間が欲しいって」

「あ~そういうことか〜」


香織はとてもニヤニヤしている。


「良かったねぇ。ただの幼馴染から一歩前進!」


そう言ってもらえてとても嬉しかった。周りからも前進したと思ってもらえているというのは自信に繋がる。

ふと気になったことを思い出し聞いてみる。


「香織はあの時どうしたの?」

「え、あ~」


コンビニまで行って帰ってこなかった30分、香織と渚も2人きりだったはずだ。そして帰ってきてからの2人は花火を始める前よりほんの少しだけ距離を感じた。

花火を楽しんだ後は方角の問題でいつものように渚と私、香織と遼で分かれて帰ったが、渚もいつにも増して言葉数が少なかった気がして何かあったのかと気になっていたのだ。


「ナギちゃん好きな子がいるんだって」

「え!?」

「何気なく聞いてみたんだよね。『ナギちゃんは好きな人いるの?』って。そしたら『いるよ』って言われちゃった」

「……」


かける言葉が見つからず黙っていると


「でも、ナギちゃんの好きな人にも好きな人がいるらしいからさ。私は私で頑張ることにしたの」


そう言って香織は笑っている。香織は自分が納得するまで、とことん進むタイプだ。


「梓もあと一息、頑張ってね」


そんな話をしている内に、部員が集まり始めた。集合時間に現れた顧問から、今日は校内の写真を自由に撮ってくるという課題が出された。


「ねぇ、梓?」

「何?」


カメラを用意していると香織が話しかけてくる。


「今日、バスケ部練習あるよね?」

「うん、あるんじゃない?」

「校内の写真なら何撮ってもいいんだよね?」

「そうだね」


香織の質問がよくわからなかった。校内の写真とバスケ部の練習が何か関係あるのかと思っていると、


「バスケ部の練習風景撮らせてもらいに行こう?」


と提案された。

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