27、まぽりん伯爵の次回予告 そのさんっ!


 ツーエーエム!

 全国の豚ども、ケツを差し出すのじゃー!


 こちら運命タロットを司る悪魔が送る深夜のレディオ。


 まぽりん伯爵のミッドナイトチャンネル!


 今日も魔界中のリスナーから、山のようなお便りが届いておるぞう。いちまい、にーまい、さんまいっと。


 少ない!

 それでは!


 夜の闇の中で悩ましき思いを抱えるリスナーたちに、わしが一縷いちるの希望を垂らしてやろう。


 最初の豚野郎はラジオネーム、深夜の陰男くん!


『お久しぶりです。まぽりん伯爵。

 今日も夢の話の続きをしたいと思います。

 実は。

 くだんの相手とは、交際することになりました。

 これ以上の幸せはありません。

 全て運命タロットのおかげです!

 たぶん、お便りを送ることもないと思います。

 なぜなら望みは全て叶いましたので』



(拍手の音)



 いやぁ良かったのう。良かったのう。


 全ては運命タロットの言う通りじゃ。


 壁を壊し、愛を伝えたことで、君は本当に欲しいものを手に入れたのじゃ。


 陰男くん。


 素直にうらやましい。


 と言うわけで個人的には、もう終わりでも良いのじゃが。番組的には運命タロットを、引かねばなるまい。


 どれ。

 二人の今後の幸せでも占ってやろう。

 

 貴様の未来は、確かにこの運命タロットに刻まれておる。


 なすべきこと。

 進むべき道。

 信じるべき未来。

 全てはこの手の中にある!

 さぁ、指し示せ!


 (派手な効果音)


 出てきたぞ。出てきたぞう!

 ムムム!

 これは……。


 ウサギ、じゃな。


 これが意味するところは、同居、同棲どうせい同衾どうきん、家族。


 つまり、一緒に暮らすことになる未来が、見えておるな。しかも、割とすぐじゃ。


 …………え?


 早くない?

 展開早すぎない?


 あれ? 相談者、まだ高校生じゃよな。スピード婚? まさか……嘘じゃろ。


 いや、二人が幸せなら、別に否定することでは、ないんじゃがな。

 まぁ、あれだね。大きな声では言いづらいんじゃがな。こう、育てられる責任とか、そういうものを加味しても……な。


 しかし勢いでやった結果、というのも否定するところではないがな。長い目で見た、幸せというのを、考えるべきじゃ。


 うん。いや、そればっかりではないか。そうじゃな。


 …………。


 というわけで、あまりに誰もかけてこないから、そろそろ打ち切りと噂の生電話コーナーじゃ。


 じゃ、じゃ、じゃ……(エコー)。

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