第23話 I never give up.

私が意識を取り戻したのは知らないベッドの上だった。


目を開けた私の視界しかいには心配そうに私を見つめる彼の姿がある。


御門みかどさん・・・ここは?」


「ここは俺の家。蘭堂らんどうさんは貧血ひんけつたおれたんだ。」


心配そうだった彼の顔が笑顔に変わる。


「俺は前にも貧血ひんけつたおれた人の手当てさをした事があるんだ。おかげで蘭堂らんどうさんが突然たおれた時も、そんなにあわてずに済んだよ。」


鷹飼たかがいさんは?」


「妹の事かい?妹には蘭堂らんどうさんを家に運ぶ手伝いをしてもらったけど、また出かけてしまったね。」


「そうですか・・・」


鷹飼御門たかがいみかど鷹飼美野里たかがいみのり兄妹きょうだいだった。


このままであれば、私が彼女の兄を変態男と散々さんざんののしっていた事実は、彼女の口を通して彼に伝わるだろう。


いや、もう伝わっているのかもしれない。


鷹飼美野里たかがいみのりと私の関係性を考えれば、彼女がだまっていてくれるとは思えなかった。


少なくとも私が鷹飼美野里たかがいみのりの立場だったら、嬉々ききとして彼に告げ口するだろう。


全ては自分がいた種であり、知らなかったで済まされる話ではなかった。


私は自分のバカさ加減かげんに情けなくなる。


今から思えば、2人が兄妹きょうだいだと考えない方がおかしい。


彼は自分には妹がいると、最初から言っていたのだ。


そんな事があって欲しくないという私の想いが、私の目をくもらせていた。


鷹飼たかがいさんは、私について何か言ってましたか?」


「まあ、多少は聞いてるかな・・・でもそれが蘭堂らんどうさんの事だとは今まで気が付かなかった。俺が知っている蘭堂らんどうさんとはあまりにも違っていたからね。」


『終わった・・・』


私は絶望感ぜつぼうかんに打ちひしがれる。


普通に考えれば、これで試合終了である。


それでも私はどうしてもあきらめる事が出来なかった。


往生際おうじょうぎわが悪いのは自分でも分かっている。


もう嫌われてもいい。みっともなく見えても構わない。だけど自分の気持ちを伝えないうちに恋が終わるのだけは絶対に嫌だ。


素直にあやまろう。そして後悔が残らないように決着を付けよう。


御門みかどさん、ごめんなさい。私が鷹飼たかがいさんに色々言った事は本当です。でも私がこれから言う事も本当です。私・・・私・・・御門みかどさんの事が好きです!」

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