妹キャンバス

龍崎昇

第1話 Draw on my sister

俺の名前は鷹飼御門たかがいみかど。都内の美大で日本画を専攻せんこうしている普通の学生だ。


今年の春、俺は奇跡的きせきてきに志望の専攻せんこうにストレートで入学できたものの、同級生の実力に圧倒あっとうされながら課題に追われる毎日を過ごしている。


その日も課題を何とか仕上げた俺は、夜の9時過ぎにようやく帰宅した。


自宅の2階にある自分の部屋のドアを開けると、俺はいつもの光景を目にする。


「寝てる・・・。」


俺のベッドで寝転がって、携帯けいたいゲームをしていたらしい妹は、そのまま寝落ねおちしていた。


当然、妹には自分の部屋があるのだが、彼女にとっては自分の部屋と俺の部屋に区別は無いらしい。


妹は自分の部屋に鍵をかけたりしないが、俺の部屋にもゲーム機目当てで勝手に入ってくる。


妹は俺の部屋から持ち出したゲーム機を無くした事があったため、俺はゲーム機の持ち出しを禁止している。


そんなわけで、妹は週に3回は俺の部屋で熟睡じゅくすいしていた。


一度熟睡じゅくすいした妹を起こすのは至難しなんわざであるため、俺は最初から起こすのをあきらめている。


いつもの事とはいえ、マイペースな妹だ。


そんな日常に、最近になって楽しみが出来た。


俺はれた手つきで、寝ている妹のパジャマのボタンをはずしていく。


白地しろぢにトマトがらのパジャマをはだけさせると、妹の見慣れた胸があらわになる。


風呂上がりの妹はブラをしていないため、パジャマの前を開くだけで半裸はんらになってしまう。


妹の胸のサイズはBカップなので、高校生としては実に標準的な大きさと言える。


『うーん、どうする。今日の俺は何をきたいんだ?』


俺は妹の胸を見つめながら、作品のテーマをじっくりと考える。


考える事10分、今日も最高のアイデアがひらめいた。


『そうだ!ブラジャーをこう。』


アイデアは決まった。

早速画材さっそくがざい選定せんていだ。


『ガッシュ・・・いやアクリル絵具えのぐの方がいいな。』


妹のパジャマを完全に脱がして上半身を裸にすると、俺は早速、作品作りに取り掛かる。


まず白のアクリル絵具えのぐを使って、下塗したぬりでブラをえがいていく。


ただし乳首は後で別の処理を行うため、ここでは下塗したぬりしない。


5分ほどで下塗したぬりが終わった時点では、胸がブラジャーがたに白くられているだけであり、全く本物のブラジャーには見えない。


おまけに乳首だけが何もられていないという、実に奇妙きみょうな状態になっている。


さあ、ここからが本番だ。


下塗したぬり用の太筆ふとふでから細筆さいひつえて、ブラジャーの細かいレースを一枚一枚丁寧ていねい再現さいげんする。

さらにぼかしやグラデーションのテクニックを駆使くしして、陰影いんえいを付ける事でリアリティを追求ついきゅうしていく。


リアリティを追求ついきゅうする上で、特にむずかしいのが微妙びみょうなシワの再現さいげんだ。


既製品きせいひんのブラの場合、体形たいけいにピッタリ合っているわけではないので、どうしても微妙びみょうなシワが発生する。

これを再現さいげんする事で、ペイントのブラが、まるで本物のような質感しつかんそなえる様になるのだ。


そして最後に乳首の処理を行う。


乳首に対しては、はだの部分よりもアクリル絵具えのぐうする事で、元の乳首の色を生かしながら、ブラジャーから乳首がけた感じを再現する。


『よし!いい感じだ。』


俺は乳首のけ具合が、自然に表現された事に満足する。


本当は乳首の色がもっといのが理想的なのだが、妹の乳首は残念ながら色素しきその薄いピンク色であるため、今回の具合ぐあい限界げんかいだ。


こうして90分ほどで、ブラジャーのカップの部分がき上がる。


いている間、妹は仰向あおむけのまま大人しく寝ていてくれたため、作品制作はスムーズに進んだ。


もし絵具えのぐかわく前に、寝ている妹が自分の胸をさわり出したら、最初からやり直しになったところだ。


ドライヤーを使って手早てばや絵具えのぐかわかすと、妹をうつせにひっくり返し、背中とわきの部分の製作に取り掛かる


こちらは基本的にひもだけなので、カップの部分よりずっと楽である。


背中のホックの再現に少し手間がかかったが、それでも15分程でき上げる。


最後の作業として、妹の背中に朱色しゅいろ篆刻印てんこくいんを押し、ドライヤーを使って背中全体をかわかせば完成である。


準備も含めれば2時間程の作業であった。


妹を再び仰向あおむけにすると、記録用きろくよう上半身じょうはんしんのラフデッサンをき上げてから、パジャマを元通もとどおりに着せる。


『ようやく終わった。もうこんな時間か・・・』


心地良ここちよ疲労ひろうつつまれた俺は、妹のとなりに横たわると、あっという間にねむりについた。

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