私の居場所

泉 瀬奈

第1話 あたりまえ

「梨央、おはよ〜」「おはよ」

友だちに声をかけられて始まる朝。

「今日の部活何時までだっけ?」「古典の課題終わった?」

「サッカー部のユウキ先輩って知ってる?」「また前髪切った?」

なんて、わいわいと話しながら教室へ行く。


私、香田梨央こうだりおはどこにでもいるような高校生。


好きなことは読書と写真を撮ること。

大勢でいるよりは少人数でいることのほうが好きなタイプ。

家族構成は、父、母、3歳差の妹との4人家族。

部活は高校でも、中学の頃から続けている吹奏楽部に所属。

担当楽器はユーフォニアム。


人間関係も勉強も、特別大きな問題もなく、同じような日々を過ごしている。

学校に行って授業を受けて、部活の練習をして、帰って課題の残りをやって寝る。

”昨日”と”今日”の違いなんて、出てきたご飯ぐらいじゃない?


特に苦手なこともないけど、特に好きなこともない。

毎日の楽しみといえば、寝る前の小説を読んでいる時間ぐらいじゃないかな。

ちゃんと寝る時間までに課題が終わってて、寝ちゃわなかった日だけだけど...


なんにもない。なんとなく毎日を過ごしている。

なんとなく時間が過ぎていく。

なんの変哲もないような代わり映えのない日々。

大きな問題もなくて。


それなのに、ふと、この世界から梨央がいなくなっても誰も困らないだろうな、

なんて思うことがあるのは_____

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