『小さなお話』 その108
やましん(テンパー)
『防護服バーゲン』
『このお話は、質の悪い、フィクションです。この世とは、一切、関係ございません。』
ちょっとした間違いから、地球世界の大気中には、有害なウイルスさんや、放射性物質さんやら、化学物質さんやら、が、たくさん浮遊するようになったため、外出するには、防護服が必須となりました。
昔のSF映画の世界が、そのままやって来た、という風情だったのです。
なんだか、この空間は、いつも、ぼんやりと、霞んで見えたのです。
それでも、防護服自体が大きな進歩を見せ、特殊な素材が開発されたり、有害物質を簡単に除去する小さな装置が発明されたりしたので、ずいぶん見た目もファッショナブルになってきました。
しかし、この世の定めで、高級品はお高く、りーぞなぶるな商品は、安全性が低かったり、まるで戦国時代の武士が使った、甲冑みたいだったりとか、さらには、非常に悪質な粗悪品が出回ったりとか、そういうところは、あまり進歩しません。
そこで、ス―パーなどでは、時々、大バーゲンセールが開催されたりします。
これが、大きな町だと、大変な人出となるわけで、ネットで申し込んで、入場制限したり、整理券を配ったりもしました。
もっとも、買いに行くには、防護服を着ていないと行けないのです。
もともと、買いそびれていたり、買えなかった人は、行くことができません。
ネット販売も、もちろんありますが、サイズが合わなかったり、まったく違うものが送られてきたり、かなり混乱状態になっていたのです。
政府は、『あと5年くらいしたら、状態が落ち着き、大気も持ち直すと思われる。防護服も、間もなく、全国民に行き渡る。冷静に行動を。世界は、回復しつつある。生活と、経済を両立させることが、できています。』
と、比較的、楽観的に述べていました。
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もっとも、やましんさんなどの、高齢者は、とてもじゃないけど、おうちからは出られない。
あの、猛烈な、バーゲンセールには、元から、参戦できるわけがありません。
それはもう、凄まじい、争奪戦になるのは、分かっておりました。
食事は、宅配お弁当。
小型の室内有害物質物排気装置と、マスクを発展させた、ハイパワー・マスクによって、なんとか、命をつないでおりました。
それでも、なんだか、最近は、徐々に苦しくなるような気はしていたのです。
一方、地下世界では、『新人類躍進会議国連合』(通称『ジャッカー』の主導により、人類の昆虫化が、実験中でありました。
このままでは、人類は5年以内に、滅亡するのは、確実だったからです。
ごきマンから、セミマン、クワガタマン、アリマン、ニン・ニクマン、・・・・・・
さまざまな実験が行われました。
最終的には、やはり、ごきマンが一番完成度が高かったのです。
これが、やがて、地球を支配することになり、もともと、人類から作られたと言う事実がわからなくなり、さらに遥かな未来に、最後の人類が監視用に作った、『タイム通路』を見つけ出した、あの、ハーイ・ゴキ博士が、弟子と共に入り込み、ねこママのカフェに現れた、その、嚆矢となったのであります。
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『やましんさん、これ、フィクションでしょ、にゃんこ。』
と、ママ。
『もちろん、フィクションですよ。こんなこと、ある訳ないじゃん。』
『これって、『カルメン・ダイラー』の、剽窃じゃ、ないかあ~~。』
カージンゴが、言いました。
『いやあ、むしろ、『宇宙鉄道Dー52』のパクリぽ。』
はとシロウが対抗して言いました。
『こらこら、やましんさんは、ダジャレストなんだから、これが、作風なんだ。まったく、受けないけども、ぽ、まあ、内容が問題、ぽ。』
はとさぶろが、やましんさんの擁護に入りました。
『でも、こうなってくると、あながち、絶対ないとは、いえないにゃんこ。』
ママが、納得顔で言います。
『まね。こうして、ここにいること自体が、すでに、おかしいのさ。』
やましんさんが、ママの、あの、粉ジュースの『はとさぶろバージョン・ミルク味』を飲みながら、つぶやきました。
『劇場型うそ話しだもんな。』
『それが、フィクションぞな。』
どっから入ったのか、久しぶりに登場の、乱暴君が言いました。
『おまんじゅうあらし~~~~に、いたしましょう。』
最近、よく、出入りする、『不思議が池の幸子さん』が、ふわりと、現れたのです。
『おとしどころが、ないから、もう、寝よう。』
おあとがよろしいようで。
『小さなお話』 その108 やましん(テンパー) @yamashin-2
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