No.2 ドゥルーヴ・ミシュラ

 あなたに会ったのはインドのムンバイのスラム街に行った時。

 川の近くを歩いていたところ、川岸にぼろぼろで汚れた箱が漂着していたの。そこでその箱が少し気になったのよね。他の人からしたら全然聴こえない様な小さな声だったから他の人達は気がつかなかったみたいだけど。

 もしかしてと思って中を覗いてみたら、赤ん坊の時のあなたが入っていた。そこで、「私が育てなきゃ」と思って、拾ったわけ。

 行き場の無い母性を抱えていたものね〜」


「そうか…。ありがとう。」


 そう言う会話をしていた。ベンさんから連絡は…来てる。「良好です。」それのみの連絡。だが、それで十分だ。

 朝食も食べ終わったので、外へ出る準備を始める。


「あら、またどこかに行くの?」


「あぁ、暇潰しに散歩だ。」


「そう、いってらっしゃい。ジルベスター明けだから、気をつけてね。」


「あぁ、もちろんだ。」


 そんな会話をしている間に外に出る準備も終わり、間もなく外に出た。



 またどっか行っちゃった。あの子の「暇潰しに散歩」は、「気になる事件があるから行ってくる。」の隠語の様なもの。毎回そう。

 ふらっと出かけたと思ったら、帰って来た後の食事の雑談は事件についての事。「それでそいつが犯人だって突きつけた訳だけど」とかって言う。

 警察の方に電話して聞いてみたら、警察側も「奇妙な事ですが…」と言って話していた。

 初めてそんな事があった時はたいそうびっくりしたけど、まぁ何回もそれを聞いたから、慣れてしまった。

「そう言えばあの子、ある時期になって、本を見た途端に様々な本を食らいつく様に読み始めんだよなぁ その知識がこんな形でアウトプットされるなんて…」って思って納得したり。あの子は本当に色んな本を読んでいた。色んな雑誌を読んだかと思えば様々な専門書を読んだり、辞書を一気読みしたり。しかもそれらを一字一句ページも覚えている様で…

 そんな彼が興味を持つ様な事件は興味深い物ばかり。

 今日はどんな事件の話が聞けるだろう?

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