No.23 〜♋️〜・「♒️」 酷い正夢

   〜♋️〜・「♒️」


「はっ!」


 酷い悪夢だった…なんなの?この手紙…

 目覚めたらそばに置いてあって、手紙通りにしてみたらあんな夢を見るなんて…ろくなものじゃないよ…


「うーん、アイ〜?」

 こんな時はアイと話すのが一番!


 アイは何と言っても私の癒しなんだから! アイも今起きたみたい。



 戻って来た!


「アイ〜!」


 エリが僕を呼んだ!


「なにー?」


 エリが僕を抱きしめてくれた!


「アイ〜」

 

 ちょっとぎゅうぎゅう!


「酷い夢見たの〜もう〜」

 

 どんな夢かな?


「人を殺せなんて、恐ろしくてできないよ…」

 

 エリが少しボソッと話した。どうしたのかな…?


「あ!気にしないで!ただの夢の話だから!」


 そっか!


「あ、そういえばアイもそんなことあったよ!」


「え?」


 私は耳を疑った。アイが?え?

 『命を糧にして命は生きている』とかって言う道徳の話はした事がある…

 でも、『人を殺す』って言う生々しい話にはアイは触れる環境のはずじゃない…


「…一応聞くけど…どんな事…?」


「え〜?それはね〜」


 そう言ってからアイは長い話を始めた。

 手紙が部屋の中のアイのそばに置いてあった事、

 自分を含め13人の人達が集まっていたこと、

 「案内人」を名乗る者がいたこと、

 他の人の12人それぞれのこと、

 13対13の殺し合いが行われること、

 アイが知らないはずの「魔人」の存在を教えられたこと、

 「部屋」の存在のこと…。


「そんな事があったよ〜!」

 アイは確かに言った。


 アイの事ずっと見ていたはずなのに!なんで手紙の事気づかなかったんだろう…!

 それに、私はすぐに悟った。これは、夢なんかじゃない…私とアイに起こった事の共通点があり過ぎる…。

 絶望感が私を覆い尽くした。生き残るためには必ずしも人殺しをしなければならない、しかも、この私が!…しかも、敵チームの中にアイがいる…。

 第一に、自分自身が死ぬかもしれない。

 でも…


「大丈夫。アイは私が、必ず守るから。」

 そう言って私はアイを抱きしめた。より一層強く。


「??」

 アイは「何?」と言うような表情を見せた。


「約束して?この事は他の人には絶対言っちゃダメ。…分かった?」


 絶対このことは他の人達にバレちゃいけない。絶対に…


「うん!分かった!」

 アイはいつものように元気に答えた。


 最悪、私の命なんてどうでも良い。

 だってアイは私の、初めての子なんだもの。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る