第15話 難度C エリスが添乗員となって皆様を案内いたします
「え~と、皆さんお集まりになりましたか?」
天使のエリスは、俺たち三世帯家族が融合炉でまったりとまとまってしまった体を一人ずつほぐしてくれて、今、最後の祖母の体のしわを伸ばしている。
俺たちも、柔軟体操や、屈伸などして、体をなじませていた。
<難度C>に挑むために。
実は、S級世界で、魔王退治という試練をルイーザに課せられ(騙され)、しかも、解決の報告の暁には、堕女神ルイーザに手柄を奪われ、その姉貴分に「闇落ち」までさせられていたのだ。そんな時に、担当のエリスがやってきたというわけだ。不条理な、二度目の試練であるが、まあ難度も高くないし、エリスちゃんは悪くないから、と、家族全員がエリスちゃんのちょっととろいが頑張り屋さんなところに心を許してしまい、再度、異世界に飛ぶことになったのだった。
「は~い、ゲートが開きますよ~」
と、エリスは、添乗員の格好で、俺たち家族を誘導した。
「ねえねえ、エリスちゃん。そのカッコ、どういうわけ?」
俺は、長男だ。女同士の確執はよくないと判断し、姉ではなく俺が聞いた。
エリスちゃんが言うには、「趣味を兼ねた、サービスです。」
「サービス?」
父と祖父は、なんか変なこと考えてるみたいだった。俺は、長男だ。
「どゆこと?」どうだ、ウイットに富んでいるだろう(長男)。
「エリスは、添乗員の格好をして、案内をするのが好きなんですよ。」
長女と次女は、同類が来た! 天然できた! と少し浮かれている。
「エリスちゃん、写真とろうか写真! 記念写真!」
「いいわねぇ。でも、天使様? そんな威厳のないことでいいんですか?」
母は問う。
「今はみなさん、やさしいですからね。えっと、旗出しますから、今。帽子も。」
カメラ、カメラ~。と。エリスはポラロイドカメラを召喚した。ものはいい。
「じゃあ、タイマー掛けますので。」ポチっと。エリスちゃんが駆けてくる。
ゲートを横に、三世帯家族の写真がプリントされた。「記念にどうぞ。」と、姉たちの方に渡したようだ。それじゃあ、行きますか、難度Cの世界へ。
エリスちゃんは、ゲートの横に立って、俺たち家族の移動をもって、後ろからついてきた。
やっと、出発完了ってとこかな? どんな景色が待っているのか? 期待するくらいには、俺たちの体も馴染んできたぜ! 仕切り直しスタート!
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