履歴書を思い出しながら書く奴
近所の酒屋さんでコーラ飲料の瓶を集めるために近所を自転車で回る人の自転車を掃除する人の髪の毛の乱れを整えるポマードを店頭に陳列する仕事をするために履歴書を書くことにした。
まずは産まれた時期だ。
神武、綏靖、安寧……平成だった。平成九年と書いた。
誕生日はあれだ暑くもなく寒くもなくちょうどいい気候で春でもなく、今晩はかれーにしようか、しょか、初夏。そうだ六月だ。日にちはうーん、仏滅の日。
いやいや縁起が悪い。なんて日に生まれたんだろう。僕なんて生まれてこなければよかった。ようかった。ようか。八日だ。誕生日は六月八日だ。
さて小学校には7年後の四月に入学して卒業は6年後の三月か。まてよ。小学校の名前を忘れてしまったああ!どっかにないか卒業アルバム。机の上は、ない!押し入れは、ない!本棚は、ほんだな、ほんだ、……本田小学校だった!
よし、小学校を書き終えて、今度は中学校だ。中学は、あれなんだったかな。確かお父さんの仕事の都合でアメリカに行ったんだよな。でも父さん英語が話せなくてとんぼ返りしたんだよな。とんぼ、とんぼ、とんだ、富田林中学だった。ふう、これはいくらなんでも連想に無理があったなあ。でもいいや思い出したんだし。
そして、高校は地元の学校に受からなくて隣の県の私立高校に入ったんだよな。何て名前だったかな。うーんと、ええと、思い出せないな。確か隣の県の名物は桃なんだよな。もも、もも、もも、太股高校だ!
いやーふざけた名前なんだよなその高校。何でこんな名前忘れてしまったんだろう。まあいいや履歴書に書こう。太股高校と。
そしてその後4年間をニートで過ごし、今でも立派なニートです。いやーこんなんでアルバイト受かる気が全然ないような気がしてきたぞ。
そうだ志望の動機で逆転しないと。志望の動機「僕は貴社の業務に並々ならぬ関心を抱き、将来性と業界の評判を鑑みて貴社を第一志望にしました」うん。これでいい。上出来。
と、彼は履歴書を鉛筆で書き、写真も貼らずに持参しましたとさ。
若い者には負けてしまうな年だから 楽人べりー @amakobunshow328
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