第一話

大体小学五年生ごろになると皆恋愛の話で持ちきりになる。

休み時間の話題の定番、タイプの男の子。

修学旅行の話題の定番、恋バナ。

私はそんな話が苦手だ。


話を聞くだけならばまだいい。

だが、必ずそんな話題になると自分にも話が振られる。適当に答えてもじゃあクラスの中で誰?とか、芸能人で言うと誰?とか、はぐらかしきれない質問が飛んでくる。

秘密主義の好きな女の子達だから、秘密にするから教えてよ、ってしつこく絡んでくる。

そう言われると気の小さい私は断れない。

でも、適当に答えると根も葉もない話までくっついてクラス中に広まってしまう。


うまく自分を守れないから嫌いだった。


本当のことは言えない。

好きな人とかタイプの人とかいないって。

言えない。

だって信じてもらえないから。





だから私は、今日も嘘をつく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る