2. さんすうドリルに取り組む大人
私は暗算が非常に苦手だ。繰り上がり・繰り下がりの計算なんて特に苦手だ。今でも幼い子供みたいに指折り計算する。3+4などの答えが5を超えるような,両手を使わないといけない計算は,私の中では準繰り上がりの計算だ。
「えーっと,えーっと」と指を見ながら計算するのはダサいので,誰にも気づかれないようなスピードと小さな動作で指を折って計算する。自慢じゃないが,普通の人とは指折り計算してきた経験値が違うのだ。まぁ,そもそも大人が指を折って計算しているなんて誰も思わないので,今後も気づかれることはないのだろうけれど。
そんな私だが,先日書店に寄った際,何気なくで算数ドリルを解いてみた。計算するときに指を使っているけれど,これまで問題なく生活できていた上に,実は私は理系の大学を卒業している。暗算に苦手意識はあるけれど,さすがに小学生用の算数ドリルであれば指も使わずに暗算で簡単に解けるだろうと高を括っていた。しかし解けなかった。
「134 - 102。えーっと,134引く,何だ。ひゃくさんじゅう,よん 引く,えーっと,102」
134を覚えていようとすると次に引く数が何なのかを忘れてしまう。逆に引く数を覚えていようとすると引かれる数が何だったのかを忘れてしまう。計算しようと思っているそばからどんどん忘れていく。指を使うとか使わないとか,それ以前に二つの数字を覚えていられない。
「筆算しないと無理だ」
全く歯が立たなかった。私には小学3年生向けの算数ドリルは難しかった。その事実に驚きながら,小学2年生向けのさんすうドリルを手に取る。解けなかったらどうしよう。どうしようもないけれど。さんすうドリルを開く。
「8+6」
よかった,これは出来るはずだ。
「8足す6だから3と1で,14」
一桁の数字ならば,私でも二つの数字を覚えていられるようだ。しかし,多くの人が一発で答えられるようなものを,私は上記のようにごちゃごちゃ考えている。(ちなみにここでは,8を5と3に分解,6を5と1に分解して,(5+5)+3+1という風にまず10を作ってそれを覚えておき,3+1を指で計算している)
そのため,思った以上に時間がかかった。さすがに大人が小学2年生のさんすうの問題を数秒かけて解くのは
情けないことに今日も一問間違えた。16+6 = 21。
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