第2章 絶望の淵に魔女は立つ

パスカルブランチの静かな決意

 この国は腐っている。


 子供に死刑が執行しっこうされる国などどこを見たってこの国だけだろう。

 子供は間違いと反省を繰り返して成長していくものなんだ。

 間違いに対する罰が必要だとしても、それが死である必要はどこにもない。

 そんなことがなぜわからないんだ。



 息子は、人を殺せるような人間じゃない。

 これは、間違いなく冤罪えんざいだ。


 私は決めたよ。


 息子をおとしいれた人間に制裁を下し、この国の法律を変えてやる。


 この腐った国はこのままじゃダメなんだ。



 決意した男の目には復讐の炎が燃え上がっている。



 水晶に映るその様子に魔女の口角がゆっくりと上がった。

 不気味な笑みが何を意味するのかは魔女のみが知る。

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