喫縁所

左 ネコ助

第1話 ナショナルブルー20F 株式会社「かやかや」 浜岡君と南君


「あーーーーーやっとタバコ吸える。マジなんなのあのハゲ散らかした横浜家系油親父は?なんであんな話長いの?」


「途中から会議じゃなくてただのイクメンアピールになってたな」


「ただでさえ長い会議がシルクロード並みに長くなったわ」


「浜岡の例えはなんかくどいな」


カチッ


カチッ


「はー。タバコが美味い。最近喫煙者は肩身が狭いよな」


「うちの会社この喫煙休憩も無くなるかもよ」

「えっ!!、なんで?」


「総務の竹中さんいるじゃん?」


「ああ、あのなんか実験失敗した博士みたいな髪型してるおばちゃん?」

「パーマと言ってあげろ。そう、その竹中さんが言うには、社長が昨今の健康ブームにあやかって社内全体で禁煙推奨しようとしてるみたい」


「悪法過ぎるだろ。この喫煙所にだって結構うちの会社の人来て賑わってんじゃん。それまじなん?」


「竹中さん、清掃の人と仲良いみたいでさ。朝礼でそうなるかもって話あったって話聞いたみたい」


「社長という生き物はなぜ社員に嫌われたがる事ばかりするんだ?あほなん?」

「こないだ社長がうちの商品の宣伝部長もやるみたいな話になってたな」


「アパホテルじゃねぇんだぞ。ベビー用品扱ってる会社でじいさんが宣伝してどうする。まあ髪の量は赤ちゃんみたいだが」


「浜岡今日はキレあるなぁ。休憩何分までだっけ?」


「あと5分くらいある。もう一本吸えるな」


ジュ


カチッ


カチッ


「ふ〜」


「このビルっていうか施設さ、こんなにでかいのになんで職員用喫煙スペースここしかないんだろうな?まあでかいスペースだけど」


「ちょうどこのビルの建設始まった時位から喫煙ルール厳しめになったじゃん?それで揉めに揉めてるうちにこうなったらしいよ」


「まじか?」


「竹中さんが言ってた」


「竹中さんなんでも知ってるなぁ」


「そのせいで毎回毎回20Fから3Fに降りてこなきゃならんかなったのか」


「まあ、このご時世喫煙スペースがあるだけマシかな」

「確かに」




「そういや、南は葉月ちゃんとはどうなの?結婚するかもって言ってたじゃん」


「ああ、別れたよ」


「…そりゃあ悪かったな」

「いいさいいさ。あいつも社長みたいなとこあってやたら禁煙すすめられたよ」


「喫煙者は喫煙者じゃないと上手くいかないよな」


「それがさ、あいつそもそも元喫煙者なんだよ、なのに自分が禁煙した事を偉そうにいつまでも上から言ってくる訳よ。家に遊び来た時も俺換気扇の下で吸ってるのに"臭ぇ、キスしようとしないで、顔近づけないで"だとよ。」


「…今夜飲みにでも行くか?」


「浜ちゃんいい奴だったんだな、例えがしつこいだけのうるさいだけの奴だと思ってたよ」


「なんでこの流れで俺が傷付かなきゃいけないんだ?浜ちゃんなんて呼んでたっけ?」


「じゃあ仕事戻りますか。嫌だな〜、俺今日家系油親父とM社に行かなきゃ行けないんだよな」


「俺の例え気に入って使ってんじゃんか。ああ、俺備品整理しなきゃいけなかったんだ。総務に資料貰わないと。なまえなんだっけ?博士おばちゃん」


「略すな、竹中さん」


ジュ


「じゃあ行こうか」

「終わったら焼肉だしな、浜ちゃんの奢りで」

「いつ焼肉になっていつ奢る事になったの。」



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