いじめに救いを、少女に友情を。

金魚屋萌萌(紫音 萌)

プロローグ。


「ごめんね、ごめんね……」

 トイレの床に座り込み、儚き年上の少女は泣きながら謝る。

「パイセンを守れた、それに比べたらこんなの安いさ」

 全身に制服ごと水を浴びた私は水たまりの中心で声を掛ける。そばには青い掃除用のプラバケツが転がっていた。

「それに、水浴びは慣れてるしな」

 私は水が飛ばないようにゆっくりと少女に近づき手を差し出す。

「ありがとう……本当にありがとう」

 儚き少女はその手を握った。その手は暖かさを取り戻しはじめていた。

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