第2話 最初の記憶
物心ついて初めての記憶は、父親にオムツを変えてもらうところだった。
全てが懐かしい。
リモコン式じゃない、手でチャンネルを変えるタイプのアナログテレビ。
祖父母もまだ健在だった。(母方の祖母はいまだ存命だが)
誕生日の料理は何がいい?と訊かれ、「蕎麦とチョコレートケーキ」と答えて異様なバースデーメニューとなったのも今やいい思い出です。
人生の厳しさを知らないとはかくもなんて甘い蜜なんでしょう。
ここに3枚の写真がある。
1枚目は被写体に向かって絶叫するような笑顔を見せる幼稚園児。
しかしどこか変な顔だ。実に嫌な子だという印象を受ける。
人間の笑みでは無い。猿だ。猿の笑顔だ。
2枚目は美少年に見えなくも無い青年が、新調したスーツを着て仁王立ちに近い立ち方でポーズをとっている。
3枚目はボロ屋敷に蹲ってほぼホームレスと見まごうほどの姿の壮年男の姿だった。
上記の文章は太宰治の人間失格のオマージュなのですが、実際は比べ物にならないほど聡明な文章です。
何が言いたいのかというと、私の行く末は3枚目の写真であるということなのです。
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