第358話
「己の技で世と共に包囲するとは……貴様、世と心中でもするつもりか?」
この程度の包囲網で世を捕え続けられると思っているのか?と言いたげな目を向ける覇鬼。そんな視線を受けながらも、胸を貫かれている焔鬼はニヤリと笑みを浮かべて告げた。
「そうだと言ったら、どうする?」
「ハッ、貴様の叛転は確かに厄介かもしれん。だが、貴様とてその状態で何が出来る?よもや、死に逝くのを世に見届けてくれとでも言うつもりか?」
「確かに、今のオレは虫の息同然かもしれない」
「フッ、自覚しているのか。ならばさっさと……」
「だがな、覇鬼。オレに何度も同じ言葉を吐かせるな。――オレは一人じゃない」
焔鬼がそう告げた瞬間、拘束している覇鬼と焔鬼の上空から妖力の気配を感じた覇鬼。頭上を見上げ、遥か上空に居るそれを発見したのである。
「(あれは……蒼鬼)くっ、貴様、さっさと離せ!」
「離せと言われて、オレが素直に従うと思っているのか?」
「ぐっ……ならば、貴様もろとも、周辺の妖怪共と共に滅ぶが良いっ」
「(妖力が跳ね上がった。不味い、このまま時間を掛けたら……)――蒼鬼!!」
覇鬼の様子に焦りが生じた焔鬼は、頭上から急降下する蒼鬼の名を呼んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます