第342話
「――っ!」
覇鬼の背後に回り込んだオレは、狂鬼が下がったのを見てから攻め込んだ。狂鬼との戦闘中に背後を取り、覇鬼がこちらの動きに気付いていなかったのだろう。その僅かに出来た隙を突く為、オレは覇鬼へ刀を振るった。
「っ、それなりに力を込めたはずなんだがな」
「その程度の攻撃で世を倒せると思っていたのか?」
オレの攻撃を片手間で防いだ覇鬼は、嘲笑した表情を浮かべながらそう言った。依然、覇鬼が消耗している様子は無い。だがしかし、奴も完璧な存在ではないのだ。オレ達が消耗すると同じで、覇鬼の奴も消耗するはずだ。
今のままで勝てないとしても、消耗させれば勝てる可能性が高くなる。だが、オレを含め、黒騎士達の消耗も激しい状態だ。オレはともかく、最初から戦っている狂鬼が一番消耗しているだろう。
「倒せると思っちゃいないさ。だけどな、倒せないとも思ってねぇよ」
「……相変わらず減らず口を叩くな。ならば世に見せてみろ」
「見せるのは構わないが、良いのか?覇鬼」
「??」
「その位置は、危ないぞ?」
オレはそう言いながら、ゆっくりと横に動いて覇鬼への道筋を開けた。オレの背後の先で立っていた者を見た覇鬼は、肩を竦めて溜息混じりに両手を広げて告げる。
「――良いだろう。受けて立とうではないか」
「最大出力でぶっ放せ、酔鬼」
回避をわざわざ捨てた意味が分からない。だが、耐えられるつもりならやって見せろ。そう思いながら、オレは酔鬼へ妖力が集束された砲撃を撃つように促した。
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