第249話
――半端者。
妖怪の血を引きながら、人間の血を引いている存在。魔境から現世を訪れ、人間と妖怪が交わった者の血を継ぐ者がそう呼ばれる。異端であるが故、純粋な妖怪よりも寿命は大幅に短くなる時もあれば、大幅に寿命が長くなる時もある。
そしてその潜在能力は、妖怪よりも強い能力を持つ者が殆ど。妖怪よりも弱くなる事は滅多に無いが、そもそも妖怪と人間が交わって赤子が生き続ける事自体が少ないのである。
生後数日で命を落とす事が最も多い混血は、生き残る確率が非常に少ない。それに生き残った赤子は、魔境の中では異端児と呼ばれていた事もある。
「……」
そう、呼ばれていた。異端児であり、忌み子と呼ばれていた事もある。魔境だろうが、現世だろうが、生きる世界は当時の私達には狭く感じた事だろう。だから私達は……いや、彼は行動に出たのだと今なら思う。
あのまま魔境に居たら、心も荒んで、憎しみという力で現世を滅ぼそうとしていただろう。
「半端者だから、私達は選んだんだよ。生きる道を、平和に生きれる道を進めるように!」
「そんなものは存在しない!いつの時代も争いが絶えなかった、人間と妖、どちらかが滅びなければ争いは終わらない。あの魔境は、暗き闇を抱えたままだ!!」
「――っ、この分からず屋っ!!!」
私はそう声を上げ、刀を思い切り振るった。
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