第224話
黒いフードを深く被り、白い仮面で顔を隠す怪しい人物。それを見れば、誰だって警戒するだろう。実際、私だって警戒している。
いや、警戒しない訳がないのだ。何故なら、妖怪としての私が感じるのである。目の前の人物からは、膨大な妖力と実力差を。
「誰っ!!私に何の用っ」
『……』
圧倒的な実力差がある。それでも、引くという選択肢を私は選ばなかった。何故だろうか。目の前の存在の気配には、何処か懐かしい気配を感じざるを得ない。そう思っていた時、それは動きを見せた。
「っ!?」
戦闘行為ではない。その者が取った行動は、片膝を地面に付けて頭を下げた。敵意を感じなかったが、私に敬意を払う者は多くない。それを理解した時、その者は言葉を発したのである。
『「お久し振りです、姫巫女様。俺の事を覚えているでしょうか?」』
「……」
聞き覚えのある声。その声を聞いた時、私の脳内である人物の名前が浮かんだ。私が無意識に、咄嗟に浮かんだその者の名前を口にしたのであった。
「……
そう呟いたと同時に、答えるようにその者は仮面を外して口角を上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます