第215話

 狐との戦闘を終えた。黒コゲとなって倒れている狐を尻目に、私は兄様を追った猫を追おうと足を運ぼうとした。倒れている狐の横を素通りしようとした瞬間だった。

 

 「……まだ、息があるんですか?クソ狐」

 「ぐっ……うぅ」

 「往生際が悪いですよ。大人しく死んでいれば、痛い目に遭わずに済んだのに」

 「――ぺっ、へへ、くたばれクソ野郎」


 顔面に唾を吐いた狐に対し、私は心の底から嫌悪感を抱いた。殺すのに躊躇が不必要だという事は理解しているが、より一層目の前の狐を殺したくなった。


 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

 

 その抱いた感情と衝動に従い、私は足首を掴んだ狐の肩を思い切り踏んだ。恐らく肩の骨にヒビぐらいは入っただろう。その痛みに耐えながら、狐は奥歯を噛み締めながら私の事を睨み付けるように見上げた。

 いや、実際に睨んでいるのだろう。だがしかし、その程度の睨みに臆する事は有り得ない。もう虫の息同然の狐相手に対し、臆す事等、有り得ない事だからだ。


 「何か、言い残す事はありますか?」

 「死ね、クソブス」

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