第203話

 「っ……(有り得ねぇー。どうして、何でこいつが……)」


 目を見開き、狂鬼は目の前の光景を信じたくないのだろう。だがしかし、それは現実で、紛れもない真実ほんものだ。それを理解したくない狂鬼は、今までより鋭い視線で彼を睨み付ける。


 「どうしてテメェがっ、その武器を持ってやがるっ!!それは、の武器だぞ!!」

 「……?」


 狂鬼の動揺の意味が分からない彼は、小首を傾げながら不思議そうに狂鬼を見る。その様子にさらに苛立ちを覚えた狂鬼は、込み上げた苛立ちを払拭すべく力一杯に武器を振るった。

 

 「返せっ!!!その武器は、テメェみてぇな得体の知れねぇ奴が使っちゃいけねぇ武器だ!!!」

 「(攻撃に様子見する素振りが消えたな。油断はしてない様子だが……隙だらけだ)」


 手数で押し切ろうとする狂鬼に対し、彼は的確に攻撃を捌き続ける。出現し続ける武器を弾き飛ばし、狂鬼は手元から外れた武器を再出現させて攻撃し続けた。

 無限とも言える攻撃をし続けた狂鬼だったが、やがて体力を消耗したのか肩で息をするまでになってしまった。その様子を見ていた彼は、目を細めて問い掛けた。


 「――お前の言うとは、一体どういう奴なんだ?」


 その問いを聞いた狂鬼は、ユラリと体を揺らしながら立ち上がって告げたのである。


 「オレの……憧れた存在だ」

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