第150話

 膨大な妖力というのは、濃ければ濃い程に可視化出来るようになる。それはオーラとなって見えるようになり、可視化出来る妖力を持つ者の力は計り知れない。

 オーラが柱となって空を貫き、膨大な妖力が波紋となって拡大していく。その波紋は幽楽町を覆い尽くす中、空を見つめる彼女は刀を強く握る。


 「っ……思ったより時間が掛かったから、急がないと」


 シャンと髪留めの鈴が鳴り、ズラしていた狐の面を顔へ戻す。紅色の鞘を持ち、紅い髪を揺らす彼女は、地面を蹴って勢い良く木々を伝って移動する。忍者のように移動を開始した彼女は気配を辿り、一つの気配を見つける為に神経を尖らせる。

 気配察知を投影した妖力は木々を抜け、膨れ上がっている妖力の主を超えて行く。やがて辿り着いた対象と接触した瞬間、彼女の全身に電気が走る感覚が伝わった。


 「……見つけたよ」


 さらに地面を蹴って移動速度を上げた彼女は、口角を上げながら呟くのである。


 「――今会いに行くからね、

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