第114話
――闇だ。
目を開けた時、それは視界を覆っていた。何も見えず、何物も感じない世界。音もなく、光もなく、全てが虚しい世界で目覚めた。
今でも忘れる事はなく、思い出す度に考えてしまう事がある。一度で良い。一度で良いからと、この目で光を帯びた景色を見てみたいと。
「終わりだ、人形野郎」
ここで終われば、幽閉された時に逆戻りしてしまう。唯一、唯一勝てなかった相手からの情けであっても、ここで敗北してあの冷たい空間に戻る事はあってはならない。
「ッ……ワタシはァ、負けなイ!!!オマエ等に負ける訳にはいかないのダ!!」
「ぐっ!?(押し戻される!?不利な体勢から無理矢理にっ、クソがっ!)」
あの空間から解放して下さったあの方の為。そして、自分があの場所に戻らないようにする為。今ここで、負ける訳にはいかない。
戯鬼……――ワタシに敗北という
こんな所で敗北し、あの方に恥を掻かせるくらいなら……ワタシはここで、刺し違えてても相手を葬る。
「くっ、この死に損ないがぁっ!!」
「認めよウ、狂鬼。オマエは強イ。単純な戦闘能力であれバ、ワタシはオマエに負けてただろウ。しかシ、これは殺し合いでもあるのだろウ?」
「っ!?」
「ならバ、それはワタシの独壇場ダ――ッッ!!」
葬れないのであれば、死んだ方がマシだ。あの方に尽くせないのなら、忠誠を示す事が出来ないのならば……ワタシに存在価値も意義も無い。
「纏イ……
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