第112話
「……」
札を剥がした事によって、戯鬼の妖力は大きく膨れ上がった。それを肌で感じつつ、目の前で見据える狂鬼。大斧を構え、戦う覚悟は出来ているという面構えを浮かべている。
そんな様子の狂鬼を睨み付け、跳ね上がった妖力を周囲へ拡大させる戯鬼。剥がれた札が地面へ落ち、足元でユラリと揺れている。
「ワタシに本気を……本気を出させるとは狂鬼ィ!」
「待ってたぜ。やっと準備が出来たみてぇだな」
「絶対ニ……絶対に殺してやるゾ、狂鬼!!!」
「やってみろよ。言っておくが、今のオレはそう簡単に殺られねぇよ」
「寝言は寝て言エッッ!!」
「――っ!?」
重傷していた遅さから一変、急激に速くなった戯鬼の動き。右往左往と移動する戯鬼は、まるで飢えた獣のように建物に張り付いたりして狂鬼との距離を詰める。
その姿に驚きつつも、狂鬼はその動きを見失う事は無かった。急接近した戯鬼に対し、狂鬼は大斧を振り回して対応して見せる。だがしかし……ほんの僅かだが、戯鬼の方が速かった。
「ぐっ……チッ、反応が遅れた訳じゃねぇのに食らっただと?」
「ワタシは負けなイ!あのお方の為……負ける訳にはいかなイ!!!」
「テメェはここでくたばりやがれっ!!!!」
狂鬼と戯鬼。互いに妖力を解放した者同士が衝突した瞬間、一帯が衝突する二つの妖力に吹き飛ばされた。その爆風は激しく、周囲にある建物さえも巻き込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます