第55話
「手加減してるつもりか!!ボクを舐めるなっ、剛鬼!!」
「ぬるいと言ってるのが分からんか!」
龍鬼が振り下ろした短剣を持つ手首から受け流し、剛鬼はそのまま片腕を振り上げて龍鬼の腹部へと大打撃を打ち込んだ。重い一撃が腹部から脳を揺らし、やがて全身へと回る衝撃が激痛と化した。
そんな痛みに耐えながら、龍鬼は空中で着地体勢を整えて距離を取った。今のままでは、剛鬼に一撃を与える事も難しいのだろう。そう思わざるを得ない程、龍鬼の貰った一撃と剛鬼の行動は卓越していた。
「っ……」
「どうした龍鬼よ、我はまだこの場から一歩も動いていないぞ」
剛鬼は言葉通り、一歩も同じ場所に立ったままだ。龍鬼の猛攻を受けているにもかかわらず、大きな動きを誘えていないのが現実である。今の剛鬼を倒すには、今までよりも強大な力を有する必要があるだろう。
それを理解した龍鬼は、深呼吸をしてから目を細める。見据えるように向けられる視線を受け、剛鬼は見据え返して口を開いた。
「このまま引き下がるなら、我は貴殿を見逃すつもりだ。無駄な争いは何も生まない事は、貴殿も理解しているのではないか?」
「黙れ。さっきも言ったが、お前はもうボクの師匠じゃない!気取った発言はしないでもらいたいっ」
「我をどう見ようが構わないが、貴殿はどんな姿となっても我の弟子である事を変えるつもりはない。貴殿が我に向けている
「だからっ、師匠を気取るなって言ってるだろ!!」
そう言い放った龍鬼は、短剣を構えてキッと剛鬼を睨み付けた。黒いオーラが龍鬼を包み込む様子を見据えた剛鬼は、眉根を寄せて目を細める。やがて黒いオーラが短剣を持つ龍鬼の全身を覆い、それを理解した龍鬼は大口を開けて言い放った。
「纏いっ……――
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