第6話 戦闘機に何があったのかを推理

 さて、実際のところは何があったのだろうか。


 私個人の考えでは少なくともUFO説は違うと思っている。


 フライトコースを外れたカナダ空軍機説(カナダ側は強く否定)があるものの、仮にそうだとすれば、いつまでも事故の隠蔽(カナダ側による事故の隠蔽)はできないであろう。なぜなら、あまりにも関係する人や部署が多すぎ、半永久的に口を閉ざさせることは実際問題として不可能だからだ。

 

 私は二つの可能性を考えている。



● 航空当局に無断で(フライトプランの提出なしに)飛行していた民間航空機と空中衝突した説


 どこかの個人飛行家が横着して、フライトプランなしに空を飛んでいたところ、防空軍団のレーダーに未確認飛行物体として探知され、F-89がスクランブル発進。空の飛行はアニメやゲームのようにパイロットの肉眼だけですべてが掌握できるものではないので、ちょっとした見過ごし(?)から機体同士が衝突。


 ジェット機のスピードは半端ではないからゲームのように簡単には回避できない。


 この民間航空機というのが、ひょっとすると何かの犯罪に関係していたのかもしれない。例えば麻薬のような禁制品の輸送とか。もし、そうだとすれば、当然ながらフライトプランの事前提出はできない。



● 空軍の新型戦闘機実験説


 軍が密かに開発している新型戦闘機…軍内でもごく一部しかその存在を知らない秘密機を極秘裏にテストフライト。当然、防空軍団の現場担当が秘密機のことを知りえることがないから、F-89がスクランブル発進。


 ここで何かの不運が重なって空中衝突…上層部は真相を隠蔽するためにUFO説を流布。ただし、この説の可能性は低いと思われる。



 私見では、民間機にしても秘密の新型機にしても、失踪の原因は『空中衝突』だと思っている。映画「エアポート'75」のような感じで。



 この失踪事件を締めくくるにあたって、ひとつだけ『突っ込み発言』をしておく。


 この事件に関してはフェリックス・モンクラ中尉の失踪がいろいろ伝えられているものの、F-89戦闘機は二人乗りで、当時はモンクラ中尉の他に、レーダー手のロバート・L・ウィルソン少尉が同乗していた。


 ネット上の失踪情報では、ウィルソン少尉の文字はほとんど登場しない。結局のところ戦闘機というのは、パイロットが主役でレーダー手は二の次なのであろう。

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