第4話 経緯:機体とUFOの残骸
2006年8月後半、「プレストン・ミラー」なる人物からUFO研究家フランシス・リッジ宛に、AP通信の抜粋記事を含むeメールが贈られてきた。
その「新しい記事」なるものは、ミシガンの潜水グループが1953年に失踪したF-89戦闘機を発見したというものであった。その発見場所は、F-89がレーダースコープから消滅した近辺の湖底(スペリオル湖の底)だという。
eメールには、その潜水グループが最近たちあげたウェブサイト「Great Lakes Dive Company」へのリンクも記載されていた。フランシス・リッジはUFO研究家が集うウェブサイト「UFO Updates」にeメールの内容を転送した。
その結果、失踪したF-89を発見したという噂は、瞬く間にUFOマニアやニュース・メディアへと拡散した。
何人かのレポーターが更なる情報を得るべく「Great Lakes Dive Company」に接触を試み、そして彼らが見つけだしたのは「Great Lakes Dive Company」のスポークスマンと称するアダム・ヒメネスなる人物であった。
この人物は「発見」について何人かのジャーナリストと討論し、更には深夜ラジオ番組「Coast to Coast AM」のトーク・ショーにて、UFO研究家リンダ・モールトン・ハウからインタビューを受けている。
「Great Lakes Dive Company」のウェブサイトでは発見したF-89戦闘機の画像が二つ掲示されていた。その画像はサイドスキャンソナー(海底面状況探査)による出力画像であった。
ノイズでぼやけているものの、それは湖底に眠る手つかずのF-89戦闘機であった。機首は沈泥に突きささり、翼の片側が晒されていて、尖った燃料タンクとアップ型後尾の特徴は、それがまさしくF-89スコーピオンであることを示していた。
この発見は多くの者に興奮を巻き起こした。というのも、当時のF-89戦闘機に何が発生したのかこれで明らかになるからである。
しかしながらジャーナリストやUFO研究家のなかには、この発見騒動を冷静に洞察し、この発見が「精巧なつくり話」かもしれないという疑念を募らせていた。
まもなくF-89残骸の近くで「謎の物体」が発見されたという発表があり、そのスキャンソナー画像がウェブ上で公開された。
その「涙滴形」の物体は、1953年にレーダー上でF-89と重なったUFOであるかもしれないとの憶測を巻き起こした。
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