第21話 遠隔地相手の裁判

 一応、建前を述べておきます。

 民事訴訟の基本は、訴えられる者の居所を管轄する裁判所です。

 しかし、それだけが管轄のすべてではありません。


 これまで述べてきたとおり、こと管轄に関する限り、遠隔地相手の裁判は、基本的には訴えた者勝ちのところがあります。

 もちろん、契約などで専属管轄を決めておくという手もあるにはあります。

 ですが、そうであったとしても、管轄はそのまま訴えてきた者の訴えた裁判所でというパターンで決着することが多いのです。

 そりゃ、下手な「移送」をしては、相手方の裁判所もいい気持ちはしないでしょうしね。


 仮に、移送の決定となったとしても、上級審に抗告するという手だってあります。


 とにかく、相手方がどこにいようが、まずは訴えていけばいい。

 それも、できるだけ自分のいる地の裁判所に訴えればいいのです。

 相手が遠隔地であっても、構いません。

 実際のところ、そこまで行くだけの必要性があるとか、常時通っているとか、そういうことでもあれば別ですがね。


 以上を踏まえるに、ネット裁判で重要なのは、まさに、これでしょう。

 誹謗中傷などの書込みがされた。しかも、相手が特定できた。

 その場合、「不法行為のあった地」もまた、法令上管轄が発生しますから、自分が書込みをされて「精神的損害」であれ何であれ、被害を受けたのはその地ということになりますから、それで押していけばいいのです。

 それだけなら、弁護士など、頼む必要もない。相手に弁護士がついていようが、構うことなくやればいいだけのことです。

 わからなければ、裁判所に行って聞けば、必要な手続を教えてくれます。


 もっとも、そんな手間もかけられないようであれば、弁護士や司法書士(簡裁案件の場合)に代理人を依頼すればよいだけのことです。

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