裁判のコツとこぼれ話
第14話 難しそうだなと思われる文章を書くコツ
「わかりやすい文章を書くコツ」なんてのは、それなりに文章を読み書きしていれば、言うことの多少の違いはともあれ誰でもいえることです。
だけど、その逆、それこそ「わかりにくく、しかも難解そうだな」と思われる文章を書くコツ、と言われたら、どうでしょうか?
実はこのネタ、公立中高一貫校を受験する小6の生徒さんにネタとして出したことがあるのです。この手の試験は、問題回答のための作文が多いので、どうしても、それなりの文章で表現しないといけない。そこであえて、逆の面から質問してみたというわけ。
唖然とする少年少女諸君を前に述べたのは、おおむねこんなこと。
~その後付け足した項目も、結構あります。
1.外来語を多用する
~カタカナ語や漢語を増やせば、なんか、難しそうに思えてくるでしょ?
カタカナ語とは言うけど、英語なら割に広まっているから効果はさほどないかもしれんが、ここで会えてドイツ語とかフランス語とかロシア語が語源の言葉を入れると、効果はそれなりに上がります。もちろん、英語であっても、専門用語的なものやなじみの薄い単語なら、十分、場合によっては十二分の効果があります。
漢語は、言うに及ばず。和語より、一瞬とっつきにくいじゃん。簡潔だけど。
2.表現はできるだけ、「大げさ」にする
簡単に言えることでも、できるだけ「大げさ」な表現にするのです。そうすれば、読むほうはそこでいちいち立ち止まらざるを得なくなる。ただし、大げさにするにしてもやり方を間違えると逆効果になるから、そこはうまくやらんとだめです。
3.句読点をできるだけ減らし、一文を長くする
句読点は文章を読みやすくするためにある。逆を行けばよい。そうすれば、必然的に一文が長くなります。短文とか複文とか重文とか、いろいろあるけど、そんなの度外視で、どんどん長くしよう(苦笑)。
まずそれをもって、読みにくくはなりますから、前に述べたことと合わせれば、そういう文章と思ってもらえる確率は格段に高まります。はい。
4.「文語」を駆使する
「口語」は基本的にわかりやすいし、読みやすい。その逆で、文語を使えば、それだけでとっつきを悪くできます。
「しないといけない」を「せざるを得ず」とすれば、それだけでも効果あり。それが一つやそこらじゃなく、文章全体で現れるわけですから、そりゃ、相手もうんざりしましょうよ。
5.そうはいっても、文法はきちんと守る
文法を守らないと、単なるでたらめ文にしかならないので、逆効果。
それじゃあ、「暗号文」を書いているようなものだ。
岡山弁で言う「アンゴー(「馬鹿」程度の意)」以外の何物でもなくなってしまうようなことは、やめませう(わっはっは)。
どうでしょうか?
この度の裁判の「原告準備書面」、まさに、その原則を駆使? したのです。
というか、戦前の文語、それこそ、大審院(現在の最高裁判所)の判例などで表現されているような書き方をすれば、読みにくくもなるでしょ?
あるいは、いくら英語が読めて理解できると言っても、日本語で十分なところを英語でやられたら、いらいらするではないですか。
そこをねらったって、わけですわな。
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