桃井姉妹は水泳を始める

習い事

幼稚園に入園した恵はプール遊びをしていて他の子たちは初めての水に触れる機会で怖がっている子が多かった中、恵は他の子に水をかけられても怖がることもなく楽しんでいた。その日、恵は家族にプール遊びで他の子たちは怖がってたけど私はとても楽しかったのと伝え、恵は家族に提案をする。

恵はママ、パパ私プール行きたい。

父はもう時期プール開きだしいいんじゃない?そうすると母は莉子まだ小さいから見てないといけないよ。

莉子はえ〜、私もお姉ちゃんと一緒に泳ぎたい。母はお姉ちゃんと同じぐらいの年になったら泳ごうね。

そして桃井家は近所のプールに行き、恵は一日中泳ぎとても楽しそうな表情をしていて父と母は嬉しそうだった。泳ぐことにのめり込んだ恵は帰りに1枚のポスターを見つけた。

そのポスターにはスイミングスクール生徒募集と書いてあり、両親に尋ねた。

恵はねぇママ、パパこのポスターになんて書いてあるの?

母はスイミングスクールに入りませんか?って書いてあるよ。

恵はじゃあ私が入りたいって言ったらスイミングスクールに入れるの?父は入れるよ。

恵はスイミングスクール行きたいの?恵はうん、行きたい。だってスイミングスクールに通ったらずっと泳げるもん。

父はじゃあママとまた話してみるね。

恵はうん分かった。

父は母と話し合いの結果、恵自身楽しんでるし本人が行きたいって言っているんだから行かせていいんじゃないかとなり、恵はスイミングスクールに行くことになった。

スイミングスクールに行き、コーチは驚愕していた。それは普通習い始めの時は水が怖くて慣れるまで時間がかかるのに恵は水を怖がるどころかつたないながらもバタ足で泳いでいた。

練習をしてるうちに5メートル、15メートルと泳げるようになっていた。

5歳になる頃には20メートル泳げるようになっており、25メートルまで後5メートルで恵自身後もう少しで届きそうなのに届かないのが恵にとってはとても歯がゆかった。

そして6歳になる前、母は妹の莉子と共に上から恵の様子を見ていた。そうすると恵は初めて25メートルを泳ぎ切り嬉しそうな表情をしていた。

恵は母と莉子が上で見ていることを知らず家に帰りその事を伝えた。

晩御飯の時、恵はおもむろにあることを言った。私ね、今日25メートル泳げたの。父はビックリして恵にえっ?25メートル泳いだ?恵何歳だっけと思わず問いかけた。

恵はえっ、私もうすぐ6歳だよ。

父はだよね?この歳で25メートルって泳げた?ビックリしすぎて母にも同じことを聞いた。

母はいや普通はこの歳で25メートル泳げないよ。まず水に顔を付けるのも怖い子もいるぐらいだよ。

父はだよね?パパビックリしすぎて言葉が出てこないよ。恵はスゴい選手になると思うよ。莉子は私、お姉ちゃんが泳いでるところ感動したよ。

恵は莉子ありがとう。そうすると莉子は私もスイミングスクール習いたい。父は莉子も習いたいの?習うとしてもお姉ちゃんとは違うコースだけどいいの?

莉子はそれでもいいの。お姉ちゃんの歳になったらお姉ちゃんと同じコースに入れるんでしょ?

父はそうだよ。ん……じゃあ、莉子も習おうか。莉子はやった〜。私もお姉ちゃんの様に泳げると莉子ははしゃいだ。そして莉子も恵のあとを追うように水泳を始めることになる。


大記録

恵は小学校に入学して週に2日スイミングスクールに通っており、練習がない日はママにお願いをして屋内にある市民プールに連れてってもらい日が暮れるまで泳いでも疲れを感じないほど泳ぐことが好きだった。

小学生4年生から6年生までありとあらゆる大会に出場して記録は平均タイムを超えることも多く、中には大会記録を超えるタイムを出すこともあり、何よりも凄いのは3年間で90試合、これは恵しか達成していない脅威的な数字で記録以上に1日に何試合も泳げるスタミナに水泳部の強い私立中学校は恵に注目し幾つかの中学校に声がかかった。

恵は特段勉強が出来るわけでもなく私立中学の受験をしようと考えたがどうしても強豪校で水泳をしたいと思いはなく家から歩いて通える大宮南部中学に行くことを決め、中学進学とともにスイミングスクールを辞めた。


連日レース

公立の大宮南部中学で水泳部に入り、平日は学校があるため日中授業を受けて授業後に水泳部の部室で着替えプールに行き、練習は日没までと短時間の練習しか出来なかった。

土日は大会や記録会でレースが行われることが多かった。1年生の恵は水泳部の中で絶対的エースであらゆる種目で記録は他の部員を寄せつけないほどの記録を保持していた。

恵にとって中学初の記録会は個人自由形とメドレーに出場することになった。個人自由形では優勝し華々しいデビューを飾った。

そしてメドレーに出場した恵は1年生ながらアンカーを務めることになる。恵は第3位で飛び込んだ。

この日の恵は個人自由形で優勝していることもあり、調子がよく優勝出来る位置にいた。

ラスト50メートルに恵は1位に名乗り出た。だが、ライバルも猛追してきており優勝は恵とライバル2人の三つ巴となった。1位になったのは恵の隣にいたライバルだった。

恵はタッチの差、指一本分の差で惜しくも2位と言う結果だった。

恵はしばらく呆然としており、仲間と共に更衣室に戻った。そこで恵は誰にも見せたことのないほど涙を流した。

涙を流した理由は個人で優勝したことよりもメドレーで優勝できなかったけどことが相当悔しかったようだ。

恵は涙を流すほど悔しがっていたが1年生で自由形1位、メドレー2位はとんでもない記録と言える。恵の泳ぎを見て周りはスーパー中学生が現れたと呼ぶ声が多かった。


特訓

前の試合で悔しい思いをした恵は今まで以上に練習をすることとなった。部活の練習だけでなく休日返上で市民プールでも練習することとなった。

市民プールで練習をしていると恵は見たことある顔に遭遇した。

そこには部員の3年生でキャプテンの東雲海凪しののめみな、3年生神楽坂優実かぐらざかゆみ、2年生の椿咲希つばきさきの3人がおり、4人はお互いに何故市民プールに来たのかそれぞれ理由を述べた。

恵は3人に市民プールで自主練をするために来ました。私がもう少し早く泳いでタッチしていたらリレーで優勝することが出来たのに出来なかったのは私の責任です。

そうすると海凪は恵をギュッと抱きしめた。キャプテンの海凪は1年生のめぐにそこまで背負わせてしまってゴメンね。私たち2年生や3年生の私たちがもっとしっかりしていればめぐにそこまで責任を負わせることなかったのにね。

恵はこの前の大会はすみませんでした。

すると海凪は何言ってるの、私たちがアンカーのめぐに1位で飛び込むことが出来ればそのまま1位になれたかも知れないのに3位で泳ぐことになった私たちの責任だよ。

先輩たちは優しい表情で述べた。海凪は1人で自主練をすることは偉いことだけど、どうして仲間である私たちに声をかけてくれなかったの?先輩の私たちがそんなに頼りないの?恵は先輩たちにご迷惑をかけるのは申し訳ないです。

恵の気持ちを汲んだ3人は1年生エースの恵だけに頼るのはよくないと思い、平日は学校で練習して土日は市民プールで只管ひたすら練習をして夕方に市民プールの近くにある焼肉屋でどうしたらもっと速く泳げるのかを4人で話し合っていた。


3年生最後の大会

キャプテンの海凪、優実はそれぞれ自由形で出場が決まりリレーにも選ばれた。メドレーのメンバーは海凪、優実、咲希、恵が選出された。4人は前の大会以降、この大会に向けて泳ぎに泳ぎ込んで試合に挑んだ。

練習でどのような順番で泳げばいいか4人で話し合った結果、第1泳者恵、第2泳者咲希、第3泳者優実、そして第4泳者は海凪が務めることになった。

恵はこの順番の意図として私がある程度リードを作るので咲希さん、優実さんと繋いでキャプテンの海凪でゴールするのがいいのではないかと提案し、タイムも恵より第4泳者よりも海凪で行った方がタイムがよかったためその提案に納得した。

4人はプールサイドのそれぞれの持ち場に行き、第1泳者の恵はプールに飛び込んだ。恵は3人に言った通り他を寄せつけないぶっちぎりのスピードで第2泳者咲希が飛び込んだ。

恵の作ったリードを保ちながら第3泳者の優実は飛び込んだ。優実はいつも以上に調子がよくさらにリードを広げて第4泳者の海凪は飛び込んで恵、咲希、優実を作ったリードがあったからこそ自分のペースで泳ぐことが出来、ゴールした。

そして電光掲示板を見つめるとNRと表示されており大会記録を塗り替えた。その後4人は県大会に出場し、ここでも大会記録に迫る記録で優勝し新潟で行われる全国大会に出場が決まる。

4人は県のみならず全国からも注目をされるようになり、「美人すぎるスイマーカルテット」と言う異名で水泳界のみならずメディア、そして観客も注目するようになった。

4人はいきなり脚光を浴びる形だが冷静で全国大会でもいつもの泳ぎをするだけですと4人とも同じように答えた。

そして全国大会で4人は見事優勝し、3年生の優実と海凪は有終の美を飾った。恵はせっかく新潟に来たので地元で有名な焼肉を食べに行こうと誘った。

恵は焼き奉行、そしてサラダを人数分取り分けて乾杯をし、海凪と優実にお疲れ様でしたと伝えると優実はみんなありがとう。成績を残すことも大事だけど結果を残せなくて水泳を嫌いにならないでね。楽しんでやることが大事だよ。

恵は2人の期待を裏切らないように頑張りますと宣言してバスで埼玉へ帰った。


疲れの影響

夏の大会が終わり、スイマーカルテットの一員だった咲希がキャプテンに就任した。

その後、恵と咲希の2人は公式戦の他に記録会にも出場して休む暇もなく泳ぎ続けた。やはり夏の大会でずっと泳ぎ続けてきた2人は夏とは打って変わって調子があがらず自由形でもメドレーに出場してもタイムはパッとした成績を残せずにいた。そして恵は大会直前に足を挫いてしまい、入院することになった。恵は初めて大会に出ることが出来ず悔しい気持ちでいた。

常に第一線で活躍していた恵にとってこれ以上のない思いだった。エースの恵を欠いた咲希は泣きたい気持ちを堪え、恵の分まで自分が頑張らないとという思いが人一倍あった。「美人すぎるスイマーカルテット」がいたため補欠に甘んじていた2年生姫野愛子ひめのあいこ、1年生夢咲双葉ゆめさきふたば、2年生如月成実きさらぎなるみという逸材がいた。

咲希は病院に行き、恵に次の試合はメンバーは私、愛子、双葉、成実というラインナップで行くことを伝えた。恵は咲希に応援だけでも行きたけど行けるかどうかまだ分からないから結果だけでも教えて欲しい。咲希は当たり前でしょ、また結果伝えるね。

大宮南部中学の水泳部は1年生エース恵のためにもいい報告が出来るようにと一致団結していた。

そして大会当日に咲希は初めての大舞台の愛子、双葉、成実に対して緊張するけどいつも通りの泳ぎをすればいい結果はついてくると頼もしい言葉を送った。

しかし結果は5位と思っていた成績を残すことは出来なかった。咲希は病室に行き、恵に大会5位だったんだと伝えた。そうすると恵は私の方こそ、大会直前に怪我をして申し訳ない。恵は咲希に頭を下げるとじゃあ1度みんなでミーティングして何が原因だったのか話し合おう、捻挫をして試合に出られなかった私が言うことではないかも知れないけど。

咲希はそんなことないよ、退院したらミーティングしようね。

恵が退院して1週間、咲希は部員を会議室に集めた。今回集まってもらったのはこの前の試合の敗因について話し合おうと思います。

まずは愛子から。愛子は着水するのが遅かったからもう少し早く飛び込めばよかったなと反省してます。

次は双葉。双葉は初っ端で相手に差をつけられてそのまま次の愛子にお願いすることになったからもう少しくらいつけれるようにしたいです。

次は成実。成実はどんな順位で回って来たとしても相手に追い越そうという思いが薄かったからどんな状況であれ1人でも抜こうと泳ごうと思います。

じゃあ最後に私はアンカーなのに1位、2位の選手がゴールしてるからと落胆して諦めていたところかな。エースの恵頼みだと思われたくなかったけど結局は恵がいないとって改めて思った試合だったな。

私も含めて4人ともそれぞれ課題が見つかったし最後まで諦めずに頑張りましょうと鼓舞をしてじゃあプールに移動しようと言った。

すると恵はちょっと待って、4人の話を聞いてたらればになるかも知れないけど私が出ていれば結果は変わっていたと思うと怪我をした私にも責任がある、すみませんでした。

咲希はまた5人で泳ごうとプールに向かった。


スーパー小学生

恵が大宮南部中学で泳いでいるさなか、凄い小学生がいるとささやかれていた。

ある大会で2位と大差をつけて優勝した選手がいると話題になっており、それは桃井莉子で平均記録を優に超え、姉の恵が小学生時代の記録を塗り替えるスーパー小学生が現れたと見ている観客が目を丸くする程だった。

莉子はこの時まだ小学5年生で今からでも連れて行きたいという中学校や高校が言ってしまう実力を魅せた。1人の観客がその泳ぎを見てまるで「泳ぐ白雪姫」だと称した。

5年生で全国大会に出場し6年生にも臆することなく圧巻の泳ぎをしてスタンドを見ていた観客は皆この様に口にする。「桃井莉子に敵無し」桃井莉子に勝てるのは桃井莉子だけなのか、2年後にはどこの中学校に行って泳ぐのか莉子の動向に注目していた。


客観的に見て

恵は現状に満足が出来ず何か変えたいと思っていた。

ある日、莉子が試合に行ってくるねとママに伝えた。

恵は莉子が出た後に試合会場を聞いて市民プールに向かった。莉子の泳ぎを見てあることに気がついた。1位になったことには嬉しそうだが電光掲示板に表示されている記録には見向きもせず興味がないのかと思うほどだった。どうしてなのか気になり試合後に聞こうかなと考えた。

恵は選手入場口付近で莉子が出てくるのを待った。莉子はお姉ちゃん来てくれたんだ。土曜日なのに練習ないの?恵は今日は休みだよ。とりあえず公園に行こうかと移動した。

2人は近くの公園に行き、恵は自販機で水を2つ買って1つを莉子に渡した。

莉子はお姉ちゃんありがとう。せっかくの休みなら家でゆっくり休養しなよ。わざわざ見に来るって何かあった?

恵は莉子の泳ぎを見て学ぶことあるかなって思って試合を観に行かせてもらったよ。莉子はそっか自分でいうのもなんだけど学ぶことはあった?

恵はスゴく楽しそうに泳いでるなって思ったよ。何より1位になったのに電光掲示板を見ないから記録に興味がないのかなって思ったよ。

莉子は記録については監督から伝えるから電光掲示板を見ないように言われてて。恵は思わず何で?

すると莉子は前に予選では電光掲示板を見ていい記録出て決勝後に電光掲示板を見ると予選の記録に及ばなくてその時に監督から電光掲示板を見るなって言われてさ。

恵はそれで結果はどうだったの?莉子は1位だったよ。でもその時はこの記録で1位なのかってすら思ったよ。恵は莉子スゴいね。世代を代表する選手なのに謙虚だね。

恵は莉子のように記録よりも泳ぐことを楽しんでみるよ。莉子は悩んだ時、時間がある時等理由はその時によるけどまた試合観に来てね。2人は家に帰った。


エース復活

エースの恵は捻挫から復活しまたプールサイドに帰ってきて咲希、愛子、双葉、成実、の5人で互いに競い合い切磋琢磨することになり、恵が帰ってきた大会ではメドレーメンバーに恵が連ね、補欠は成実となった。

恵は怪我明けの大会で本調子には程遠いものの優勝することが出来た。

その後も練習をし、5人は誰がメドレーメンバーに選ばれてもおかしくない記録でめきめきと力をつけていた。

夏の大会に向けて5人でプールで泳いでた。咲希、愛子、成実の3人にとって最後の大会になるのでタイムを計った。恵は中々タイムは伸びなくて悔しい気持ちと純粋に泳いでて楽しいという気持ちになっていた。


連覇をかけて

恵の大宮南部中学校は昨年輝かしい成績を残して誰もが今年も出てくる大本命だと思われていた。

咲希、愛子、双葉、成実にとって最後の大会だが去年の立役者の恵はメドレーで出るのは当然だと誰しも思っていた。

だがしかし、プールサイドには恵の姿はなくて何故かスタンドにいた。大会直前に行われた記録会で恵は思うような記録が出ず、キャプテンの咲希は苦渋の決断をすることになる。

今大会はエースの恵を外し咲希、愛子、双葉、成実の布陣で行くことを決めた。

第1泳者咲希、第2泳者愛子、第3泳者双葉、第4泳者成実で昨年塗り替えた記録と同じ記録で県大会出場が決まり、県大会も無事に勝ち抜いて2年連続で全国大会出場が決まったが成実が体調不良で恵が代わりに出場し、結果は2位で全国大会連覇はならなかった。


新入部員、そして夏に向けて

その後恵は1年生の記録に近づいてきて調子もよく個人でもメドレーでもよい成績を残し、実績のある恵はキャプテンとなり、新入部員に川本柊かわもとしゅう春風楓はるかぜかえでそして海凪の妹の東雲翔子しののめしょうこの3人を新入部員として迎え入れて最後の大会に向けて練習が始まった。

恵は泳いでいてこの3年間でこのメンバーが1番強いのではないかと感じていた。

理由としては翔子は海凪の泳ぎ、そして恵をずっと見ており周りから翔子は海凪の再来と言われていた。そして翔子は恵と2枚看板呼ばれるほどだった。

恵は部活終わりにみんなでファミレスに誘った。親睦しんぼくを深める目的もあるが他の高校の情報を知ることが出来たらなと思っていた。

恵はみんなに何を頼むか聞いて注文し、他の高校のことについて聞いた。すると翔子はあくまでもウワサですが私立浦和紅月うらわあかつき中学にとんでもない新入部員が入ってすごい強いって聞きますよ。

恵は浦和紅月中学?なんか聞いたことある。いずれその選手と一緒に泳げた楽しいだろうなと思っていた。


先に帰宅

莉子は練習を終えて家に帰っていた。ママ、パンケーキ作りたいから台所借りてもいい?母はいいよ。何か困ったことあったらまた呼んでね。莉子は悪戦苦闘しつつもパンケーキを作った。すると恵が帰宅してお腹空いた何か食べるものない?リビングに向かって歩いた。

莉子はお姉ちゃんお帰り。今ねパンケーキ作ったから一緒に食べようよ。恵はホント?もらっていいの?じゃあ半分食べるから残りは莉子が食べな。母はその前に恵は手を洗って着替えてからね。恵は分かっているよ。

恵は手を洗って着替えて再びリビングに向かった。恵はパンケーキを食べて美味しい、莉子ありがとうと頭を撫でた。莉子はお姉ちゃんまた何か食べたいものあればいつでも言ってね。恵はありがとう、ママやパパが食べたいものも作ってあげてね。

恵が帰ってきて1時間後、父が帰ってきた。お腹空いた。何か食べるものある?恵はパパお帰り、莉子がパンケーキ作ってくれたから食べてみてよ。莉子は父にパンケーキを渡した。手を洗って着替えてから行くからちょっと待っていてね。

しばらくして父はリビングに向かいパンケーキを食べた。美味しい、莉子美味しいよ。普通にお店に行って食べてるような感じがしたよ。お母さんは食べた?母は食べてないよ。

母はじゃあ半分もらおうかな。食べると美味しい。残りの半分は恵と莉子2人で食べな。

莉子はパパやママ、お姉ちゃんに喜んでもらえてよかった。


ライバル出現

翔子、恵の2枚看板で他の学校から脅威に感じていたが記録会で紅月中学と相対する。

私立浦和紅月中学校の新入生、その名は桃井莉子で恵はまさか莉子と泳げる日が来るとは思わなかったよ。

恵は莉子に同じ学校でもある大宮南部中学で姉妹で泳ごう、莉子がいれば鬼に金棒だよと誘った。

しかし莉子はお姉ちゃんの気持ちは嬉しいけど同じ学校に行くとお姉ちゃんに頼ってしまうし、それにお姉ちゃんと戦うには他の学校に行かないと水中で勝負することが出来ないから別の所に行くと話していた。

莉子は恵を姉としてだけでなく、スイマーとしても尊敬していた。だからこそ莉子は恵との対決を望んでいた。

自由形で恵と莉子の姉妹対決となり、姉の恵に軍配があがった。メドレーでも恵の大宮南部中学が莉子の浦和紅月中学校に勝利した。

その後夏の大会まで記録会で何度も恵と莉子の対決は続き、莉子は恵に勝ち続けて莉子は1年生記録を持つ恵の記録を更新するし一躍妹の莉子も注目されるようになった。


最後の追い込み

恵は自分も含めてこの大会に出るメンバーを考えていた。タイム、そしてスタミナも含めて総合的にメンバーに決めようと考えていた。まず1人ずつ泳ごうと恵が泳ぐために翔子にストップウォッチで計るように伝えて記録するように伝えた。

翔子は恵の記録をメモをするとしょーちゃんありがとう、後は私が代わりにメモするから準備して。続いて咲希、双葉、成実、愛子の順に記録を計った。そして1年生の柊、楓、翔子とそれぞれ泳ぎ切り10本泳ぐように伝え恵も含め全員で泳いだ。

そして10分の休憩を伝えてその間にメンバー決めを考えていた。メドレーで誰を選べば優勝出来るかを悩みに悩んでいた。

恵はメドレーに出場する選手を発表しようと思います。呼ばれたら返事して。

第1泳者夢咲双葉

双葉 「はい」

第2泳者東雲翔子

翔子 「はい」

第3泳者春風楓

楓 「はい」

第4泳者私桃井恵

これはあくまでも暫定なので調子が悪かったり怪我が出た場合に備えて選ばれなかったメンバーもいつでも出られるように用意しておいてほしい。個人種目にはみんな出てもらう予定だからオーバーワークしすぎて当日棄権っていうことはないようにそれぞれ気をつけるように。

他の学校、特に莉子の通う浦和紅月中学校はどういったラインナップなのか気になっていた。


決戦前夜

桃井家で晩御飯を食べている時、莉子はこれでお姉ちゃんと一緒に泳げるのも最後なのか。それもお姉ちゃんにとって最後の大会で一緒に泳げるって光栄だな。

ママはホント恵と莉子は仲がいいね。姉妹とはいえ明日違う学校の対戦相手とは思えないね。

恵は最後の大会だから他の選手、特に莉子には負けたくないし、勝ちを譲るつもりはないよ。

莉子はどう思う?

私は勝ち負けよりもお姉ちゃんと一緒に泳ぐことを楽しもうと思う。そこで結果が出たらおんの字ぐらいの気持ちでいるよ。絶対に結果を出さないとって思うとへんに力が入っていい記録出ないと思うんだよね。

パパはホント莉子は恵みのこと好きなんだね。2人ってあんまりケンカしないよね?

恵は大乱闘みたいなケンカはないね。莉子がいつもお姉ちゃんって懐いてくれるもんね。私の言ったことで腹が立つこととかないの?

莉子はお姉ちゃんのこと大好きだよ。そんなお姉ちゃんに対してイラッとすることは殆どないね。数年前に友達が遊ぶからって冷蔵庫に入れてたクッキーをお姉ちゃんに食べられて少し紛糾ふんきゅうしたことはあってシュークリーム買ってきてくれたってことはあったかな。

恵は知らなかったとはいえ勝手に食べちゃって同じクッキーを買おうと思ったけどなかったから変わりにシュークリーム買おうって。

それ以外はケンカというケンカはないね。

恵は莉子の言う通り公式戦唯一の姉妹対決を楽しまないとね。


最後の姉妹対決

会場は莉子の中学、浦和紅月中学のプール行われた。姉恵、妹莉子共に調子がよく誰しもがどっちが勝ってもおかしくないし2人の対決を観ようと多くの観客が訪れていた。

まず、午前にメドレーで互いに第4泳者として恵と莉子はプールに飛び込んでゴールした。そして恵、莉子共にゴールした。

1位 浦和紅月中学

2位 大宮南部中学と表示された。

午後に行われる自由形で恵と莉子はエントリーされており泳ぐことになった。

姉の恵としてはメドレーで負けているのでその分も個人自由形では絶対負ける訳にはいかないと意気込んでいた。

自由形で泳ぐ前恵と莉子は話していた。

莉子はこの個人自由形でお姉ちゃんと泳げるの最後だね。恵はそうだね。だからといって勝ちを譲るつもりはないからね。私はメドレーで莉子に負けてるからね。

莉子は私もお姉ちゃんに負けないように頑張るね。恵はお互いに後悔のないように楽しんで泳ごうね。

そして時間になり恵と莉子はそれぞれの持ち場に向かい、そして恵と莉子は飛び込み台に立ち、プールに飛び込んだ。泳いでいると周りを引き離してリードしている2人がいた。その2人とは恵と莉子の一騎討ちの戦いとなり、ゴールをし、タイミングがほぼ同時で恵も莉子お互いに勝ったと思って電光掲示板を見つめるパッと表示された。

1位桃井莉子 浦和紅月中学校

2位桃井恵 大宮南部中学校と表示された。

莉子は恵に最後まで楽しく泳げたよ、お姉ちゃんありがとう。恵は莉子の言う通り別の学校で戦うことが出来て私も楽しかった。

互いに握手しそれを見ていた観客や周りからは拍手喝采だった。そして今大会で活躍した莉子は新生が現れたと周りから言われるようになった。

恵は記録会で莉子に勝つことは出来たが唯一の公式戦は勝てず悔しい気持ちを高校で晴らそうと考えていた。

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