エロいスキルなら無限習得!〜って下半身露出しないと本気出せないんですか!?〜

さちえ

第1話 死因:同人誌

意気揚々とした気分で店を出る


手のひらに食い込む紙袋の持ち手の痛みが心地いい…


この重さ!この存在感!


この紙袋にはエロ同人が詰まっているのだ




初めて訪れたムフフブックスの店内は、まさに夢と希望が溢れるエンタメ世界


和姦強姦、触手に石化。百合の花園貧乳巨乳…


あぁ…何時間でも見ていられるエロパラダイス…




今回の63回ウィンターコミッケでピッツア先生は和姦本か…


笹林友三先生は新しいオリジナル作品か…前回のサキュバス本の続きも読みたいぜ…




棚の一列一列をじっとり眺め、購入する作品を厳選していった




そうして最終的に30冊のエロ同人を一気に大人買いして店を後にしたわけだ




ネットと違って実際に本を見て、あらすじを読んで購入を検討する


これが醍醐味なんだな~と初めての経験にウキウキしたぼくは


実際はまだ高校生なりたての15歳だ




老け顔と高身長もあって、まさか高校生とは疑われないだろうと高をくくっていたのが


最初内心ビビッていた




あの18禁ののれんをくぐる瞬間は、見つかるな!ばれるな!とビクついていたわけだが


のれんの先に広がった光景にもはや我を忘れてエロに没頭していたわけだ




15歳ともなれば頭はもう、穴に突っ込むみたいかどうか、あと少し勉強みたいな考えをしていたぼくは


しかし中高共に男子校ということもあって


このさかった脳味噌を電脳世界のエロに浸からせて鎮めるしか方法がなかった




陽キャグループのみなさんは、それこそ合コン的なもので彼女を作ったりだとか青春を謳歌していたが


そんなのはぼくには無縁で、黙々とエロの探究をきわめていたぼくは、名前も相まってエロ孔明と友人に言われる始末であった




やはりエロを探究するものとして、エロ同人の実物は欲しいよねと


お年玉を得たぼくはついにムフフブックスに至り、エロの至宝を我が手中に収めたのだった!




いやあ楽しみだなぁ…家に帰ったら何から読もうかしら…


ていうか、同人を包んでるビニール包装、30枚分ばれずに捨てられるかしら…




いかんいかん!エロに雑念は必要なし!今この瞬間!


最高のエロで果てる!それだけを考えるんだ!




と突然。びりっとした音とともに、紙袋の底が破け、大量のエロ同人が地面に散らばった




あっ!?まずいまずいまずい!駅前だぞここは!!!


あ、見られてるやばい恥ずかしい恥ずかしい…なんだこれやばい…




羞恥に悶え散らばったエロ同人の収集に集中する自分に


周囲からの「なにやってる!トラックが突っ込んでくるぞ!」の注意は何一つ耳に入らず




最後の一冊を拾った安堵感と共に訪れた盛大なクラクションの音に気付いた時には


折角集めた30冊のエロ同人が花びらのように舞うのを


とてもきれいだと感じながら


同時に吹き飛ばされている自分がいて




意識はプツンと途切れるのだった

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