第24話 会議準備と精霊の旧友

 天空の空から地上に向かって飛翔を続ける。

 どうやら先程まで悲鳴を上げていた土の精霊ノームのジェフォと死神のデンデデンとコロポックルのリリは静かになってしまった。


 

 きっと恐怖のあまり言葉を失くしたのだろう。



「すまない、後もう少しで到着する」


 だが背中の3名はただの屍のようだ。

 それから数分後には開拓している村に到着した。

 空からやってくる炎のフェニックスジュニアに気付いたドワーフが手を振っていたり、コボルト達が大木を鋸で切断している。



 それから建物を造っているのだろう。

 そこへドワーフの技術の石材が加わる事で最高な建物になるのだから。



 地上に着地する前にちらりとコロポックル達を確かめる。

 城壁のすぐ近くの場所で巨大な牧場を作っているのはドワーフ達のようだ。

 そこに家畜達が無数に生活している。


 実は家畜の餌は野草などだった。

 しかし城壁の中には限りがあるので、定期的に城壁の外に放牧する必要がある。

 その時の護衛とかも考える必要があるし、家畜の餌となる牧草等をどこかで仕入れる事が出来れば、家畜達も嬉しいだろう。



 しかし毎回仕入れていたらこちらの財政が破綻する。

 自分達で牧草を育てる必要があるのだし、ニワトリタイプの家畜達は虫を食べている。

 モウモウは草なら毒草でもなんでも食べるようだ。

 内臓器官が優れているのだろう。



 そういった光景を見ていると。



「あれがうち達の新しい生活の場所なのですね」

「その通りだねリリ」


 

 リリはキラキラに輝く瞳を地上にある造りかけの牧場を見ていた。

 あの兄弟ドワーフがすぐに牧場建設してくれた事には頭が下がる思いだ。

 そのおかげでリリの瞳は希望に満ち溢れている。



 僕は他人である人が幸せになったり楽しくなったりする光景をなんだか初めて見ていた気がする。

 

 こんなにも、こんなにも、凄く心に響く他人の笑顔。

 だけどそれはもはや他人ではなくて、友達なのだから。


「リリ、いつでも言ってくれ、牧場を空から見たい時は僕の背中を活用してくれ」

「うん!」



 リリの清々しい声を聞いた。

 心臓の中にある何かがそわりと刺激された。

 それは生きている証拠ったのだから。



 僕達は地面に到達すると、即座にキキが走ってくる。

 早すぎるスピードに僕達は驚きつつも。



「メテス様、お帰りなさい、天空の空はどうでした? 大きなドラゴンがいましたか? 闇風はちゃんとやりましたか? 教えてください」


「まったく、静かに話すという事を知らないっちゅうのか、そこのリザードマンはんわ」



 死神が僕の背中から地面に着地する。

 もちろん隣にはノームのジェフォもいる。ノームの肩にはリリが座っている。



 まず子供のリザードマンであるキキはジェフォを見て次にリリを見て次に死神を見て、口をぱくぱくしながら、死神を見てそこにぶっ倒れた。



「ってなぜなん? おのれだけ二度見していたのはどういうっちゃねん」



 相変わらず壊れた大阪弁を話す死神を放って置いて。

 キキの頬っぺたを軽く叩いた。



「は、なんか骸骨がいた気が夢か」


「夢じゃないっちゅうねん、この顔を見て忘れるのはいかへん事やで」


「ぎゃああああ、骸骨が喋ってる。鎌を持って死神みたい」

「死神みたいっちゃうねん、死神やねん」



「す、すおおおおい、変な話方してる」

「ちゃうねん、こういう喋り方で変じゃないんや」



 死神とキキが勝手に漫才を始めたのでそれを止める為にジェフォの肩から降りたリリは頑張っている。



 ノームのジェフォははぁと溜息をつくと。



「隙ありいいいいいいいい」



 ノームは土色の頭をぶん殴られて、そのまま、地面にめり込んだ。



「やっぱりその懐かしいオーラはなんなのか分からなかったけど、ジェフォあんたね」


 

 サラマンダーがめらめらと全身から炎を噴出させている。

 その点ではフェニックスジュニアの僕も負けていない。

 サラマンダーのサラーナの隣にはウンディーネのディーネとシルフのシュンコがいた。



 ジェフォはゆっくりと顔を上げる。



「あれ? お前たち久しぶりじゃん」

「こんの地獄天然野郎が」


「お前サラマンダーだろ、そっちがウンディーネでそっちがシルフ、メテスんとこのメンバーは個性的すぎるな、凄い村になるぞ」


「うるさあああああああああああああい」


 

 突如シルフがぶちぎれる。

 風を斬り刻むカマイタチが発生した。

 その風はノームの全身を斬り刻んだ。

 しかし彼は数百年、または数千年の月日で死神と戦っていたのだから。


 

「分かった分かった。今から皆に事情を説明するから、お前たちも来てくれ、えーと名前があるんだろ?」


「サラーナ」

「ディーネ」

「シュンコ」


「そんなに冷たく言わんでも」


 ジェフォはとほほと項垂れていた。

 僕の後ろの翼に何かが当たっている。

 慌てて人型の姿に変形させると。

 死神とキキが漫才喧嘩を始めてそれをリリが止めたようだ。

 3人共こちらにやってくる。


 

 今回の会議は人数が多いし、ドラゴンの事も踏まえると建物の外だと判断した。



「キキ、早急に広間に主要メンバーを呼んでくれ、ドワーフ達には椅子とか色々な大きさで設置してくれ」


 実はこの国のレベルは村と大して変わらない。

 ただ1人1人が素晴らしい力量を持っている。

 1人の力で1000人の力になりうるのだから。



 僕達は取り合えず中央広場で座る事にした。

 1時間が経過してくる、次から次へと主要メンバー達が集まってくる。

 関係のない奴等も集まってきたので、少し離れた場所から聞いてくれるようにした。



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バードモンスターに転生した僕は国を作りたい  MIZAWA @MIZAWA

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