第8話 ワンコ来ました ②
さてさて、五月先生とめいとさん、いそいそとお出かけです。
探してもらったワンコに会いに、ペットショップへ向かいます。
「ごはんに、おもちゃに、おトイレシートに、ゲージに、ブラッシングのクシに……」
「おいおい、連れて帰るとは限らないぞ。あくまでも、見に行くんだ」
「わかっております」
いやいやめいとさん、全然わかってないでしょう。
「ピンと来なかったら連れて帰らないんだぞ」
「わかっておりますって。あと、シャンプーも必要ですかねぇ……」
いやめいとさん、だからね……ねぇ?
「いらっしゃいませ」
「連絡いただいた五月です」
「はい、お待ちしておりました」
お店の奥から出てきた別の店員さんが、ワンコをカウンターに置いてくれました。
茶色のスムース、大きな瞳に小さなピンクの肉球をしています。
でも、その瞳も足先も、プルプルプルプル震えています。
おびえた様子には、しぶしぶ感が満載です。
「電話でもお話した通り、この子は生まれてすでに四ヶ月以上が経っています」
「健康状態はどうなんでしょう?」
「生まれつきの持病や身体の不都合はなく、今のところ良好と言えます」
「今のところは……?」
「はい、何分生き物ですから、この先どうなるか確実なことは申せないということです」
「はあ……」
「何卒それをご理解のうえ、お決めいただきたいのですが」
「はあ……」
「お買い上げ後一ヶ月以内に支障が生じた場合は、別のワンちゃんを再度探させていただきます」
「そういうものなのですか……どうだ、メイド?」
めいとさん、さっきからワンコをじっと見ているだけです。
ピンときたのでしょうか?
五月(ごがつ)とメイド〜3rdシーズン・ワンコと一緒〜 五月乃月 @gogatsu_notsuki
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