第4話 ワンコ飼いたい ④

 ペラ……、ペラ……。


 五月先生、出された本を手に取り読み始めました。

 数ページ読んだあと、めいとさんの顔をちらっと見ました。

 めいとさんは五月先生の手元をじっと見ています。


「ふむふむ。尻尾を追いかけてグルグルするのはストレスが溜まっているのか……」


 おや、五月先生、早くも読み込んでいますねぇ。


「へー、尻尾をお尻に巻き込むのは服従しているって意味なのか……」


 そろそろめいとさん、焦れてきました。


「あのぉ〜、五月様?」

「ほお、チョコレート、玉ねぎ、アボカドは毒なのか……」

「え、え〜っと、五月様?」

「どっちがいいんだ?」

「は?」

「オスとメスとどっちがいい?」


 お、これは……。


「あ、えーっと、飼うなら小型犬がいいと思うのです」

「お前がちっこいからな」

「……」

「で?」

「小型犬は家の中で飼いますから、男の子だとそこら中にマーキングしてしまう可能性があります」

「ん」

「ですから、女の子がいいかなぁ〜っと……」

「メスもマーキングするだろ?」

「男の子よりは少ないかと……」

「ふむ。世話も散歩も、う◯ちのマナーも大変だって言ったのはお前だぞ」

「そうなのですが……まあるい瞳と肉球とお尻が……」

「可愛いな」

「あい」

「ふたりでちゃんと勉強してから、よく考えよう」


 おっと、これはお許しが出たということなのでしょうか。

 めいとさんのひとみがキラキラです。

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