現代病床雨月物語
秋山 雪舟
第三十九話 「生戦(せいせん)その八 二度目の対戦。潜伏ウイルス活性化による帯状疱疹を克服へ?」
二〇一九年は依怙地巡礼も終了し難病治療も順調に進んでいました。血小板数も正常値で安定しており十二月からステロイド薬であるレボレード(エルトロンドパグ)錠の服用を終了しました。終了後の一ヶ月後(二〇二〇年一月)でも血小板数(32万)が安定していたので次回の受診は三ヶ月後(二〇二〇年四月)になりました。難病平癒の寛解への道も具体的になってきました。今思うとこの二〇一九年の年末は中国で新型コロナ感染症がマスコミに取り上げられた最初の頃だったと思います。
二〇二〇年四月の血液検査の結果は、血小板数が17万、白血球数が1700、CRPが0.20となりました。血小板数が三ヶ月で約半分になり正常値からも外れ低くなりました。低下が早いので一ヶ月後の五月受診になりました。五月の結果は、血小板数が12万、白血球数が1400、CRPが0.06でした。ふたたび一ヶ月後の六月受診になりました。医師は血小板数が10万以上でとどまればステロイド薬であるレボレード(エルトロンドパグ)錠の服用中止を継続する考えです。
そして六月の結果は、血小板数が7万、白血球数が1400、CRPが0.99でした。この時点で寛解への希望が無くなりました。医師は血小板数の低下とCRPが0.99なのでふたたびステロイド薬であるレボレード(エルトロンドパグ)錠の服用を毎日1錠(12.5㎎)で処方されました。次の受診日は一ヶ月後ではなく二週間後の七月上旬になりました。
私はこの六月の下旬頃に右の臀部の辺りに赤い湿疹が五つほど密集して現れ虫刺されと思い薬を塗りました。しかし一向に良くならないため汗疹用の薬を塗りましたが効き目がありませんでした。それから二、三日が経過した時にその赤い湿疹が赤い大きな水疱となり、しかもその周りにも小さな赤い湿疹が増えていました。ただ事ではないと思いスマホで調べました。その中の写真と同じものがありました。それは類天疱疹と帯状疱疹にそっくりでした。私は帯状疱疹なら厄介だなと思いつつ直ぐ近くの皮膚科に行きました。皮膚科の医師は一見するなり帯状疱疹と診断しました。嫌な予感は的中しました。皮膚科の医師の話では虫刺されと汗疹と帯状疱疹の違いは虫刺されと汗疹は薬で変化が出る。帯状疱疹はすぐには小さくならず逆に大きくなっていきますと説明がありました。しかし素人では特に初期の時は分かりにくいようです。私の帯状疱疹は大きな水疱になっているので症状はかなり進んでいました。もっと早く受診しなさいと注意されました。なぜならこの帯状疱疹は神経痛の後遺症が出るからです。私にはアメナリーフという薬が一週間分処方されました。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染で起きます。二歳頃から十歳頃に水痘(水ぼうそう)に感染したときのウイルスが長期間体内に潜伏し、再活性化して発病します。帯状疱疹の発病は免疫力低下を表しているので、私はこれでますます七月上旬の血液内科の受診が不安になりました。
七月上旬の受診結果の前に、私と同じく持病を抱えながら新型コロナ感染症予防の生活をしている人達のために病原体についての学習・復習をしたいと思います。病原体には、感染症の原因となる微生物・原生動物・細菌・ウイルスなどがあります。
病原体の種類①ウイルス(特徴)宿主細胞内でのみ増殖、通常化学療法剤が効かない。主なもの、はしかウイルス、インフルエンザウイルス、日本脳炎ウイルス、肝炎ウイルス、風疹ウイルスなど。②クラミジア(特徴)宿主細胞内でのみ増殖。主なもの、トラコーマクラミジア、オウム病クラミジアなど。③マイコプラスマ(特徴)細胞壁がない、最小の自立増殖生物。主なもの、肝炎マイコプラスマ、ウイアプラスマなど。④細菌(特徴)細胞壁をもち、自律的に増殖。主なもの、ジフテリア菌、肺炎双球菌、淋菌、コレラ菌、赤痢菌、大腸菌、破傷風菌、ボツリヌス菌、結核菌など。⑤スピロヘータ細菌(特徴)細胞壁をもち、自律的に増殖。主なもの梅毒トレポネーマ、レプトスピラなど。⑥リッケチア(特徴)宿主細胞内でのみ増殖。主なもの、ツツガムシ病リッケチア、発疹チフスリッケチアなど。⑦真菌(特徴)半ば寄生的に増殖。主なもの、カンジダ、クリプトコッカス、白癬菌など。⑧原生動物(=原虫)(特徴)宿主に寄生。マラリア原虫、トリパノソーマトキソプラスマなど。⑨寄生虫(特徴)宿主に寄生。主なもの、回虫、十二指腸虫、条虫、住血吸虫、ジストマなど。これらの感染症に対応するには社会の総合力が必要不可欠であると思います。個人としては知ることから始めるしかありません。そして日々清潔に心がけることだと思います。
最後に七月上旬の受診日における血液検査の結果ですが血小板数が20万、白血球数が2320、CRPが8.35でした。レボレード(エルトロンドパグ)錠の服用効果により血小板数が正常値になりました。しかしCRPが悪かったので念のため胸のレントゲン検査をしました。異常はありませんでした。CRPの高値は主に帯状疱疹の影響と思われます。医師からはCRPが悪いので自宅療養指示がだされました。今は自宅で二度目の水疱瘡ウイルスと格闘中です。このウイルスは私と同じで素直ではなく依怙地どうしの戦いです。宿主は殺さないと信じています。それではまた。
現代病床雨月物語 秋山 雪舟 @kaku2018
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