外面いい彼女に疲れたので、もう別れていいっすか?

月見里ゆずる(やまなしゆずる)

序章

 「――私には小学校時代からずっと好きな人がいます! ……その人は小学校からの幼馴染おさななじみで、頼りないところがあるけど手先が器用で他の人より優しいところが素敵です」

 よどみなく主張する幼馴染。

 ギャラリーが「だーれー」と合いの手を入れる。


「それは――渋谷哲平しぶやてっぺいくんです!」

 

 舞台上の幼馴染は続ける。

「だから……渋谷くん、私とどうか付き合ってください!」

 幼馴染は頭を下げた。

 視線が俺にさってくる。

 どう考えてもこれ断れない状況だ。

 前日に幼馴染から「私、自己主張にでるからよろしく」なんて言われたが冗談じょうだんだとおもった。

 無言の圧力をかけられていたんだ。

 断ったら断ったで「KYな奴」と陰口叩かれる結末が見える。

 確かにあやは周りの評判通りの人間だ。

「――よろしくお願いします!」

 ギャラリーの前であやの告白を受け入れてしまった。

 

 これが始まりなんである。


 俺は菅原すがわらあやという学年で有名な女子と付き合っている。


 黒いセミロングの髪。モデルのようなしなやかな体型。西洋人形のような顔立ち。

 成績は学年で毎回上位に入っていて、スポーツもそつなくできる。

 家事もおまかせあれ。

 いわゆる才色兼備さいしょくけんびタイプだ。

 学年で「彼女にしたい人ナンバーワン」に選ばれるぐらいだ。

 それでいて男女問わず同級生が困っていれば自分から助ける。

 クラスのリーダー格でサバサバしているので女子からの好感度も高い。

 


 

 ただし彼女のキャラは以外を除く。


 ――彼女の外面そとづらの良さはアカデミー賞ものである。

 

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