第10話 作戦

「これが柳が持ってきた、データだ。」


本田さんは、そう言ってUSBメモリを渡して来た。しかし、使い方が分からないので、花梨に渡す。


「ん、。」


花梨は受け取って、自身のノートパソコンにさす。


「凄い、精密。しかも、多い。」

「清雅君は普通に取ってこれるからね。大体のセキュリティシステムは効かないと思うよ。」


夏稀さんがそう言う。セキュリティ無効って、人類最強じゃねーか。


「で、作戦はどうするんですか?」


そう質問してみる。


「君が隊長なんだから、考えてみれば。」


逆に返してくるのかよ。面倒くさいなぁ。


「無理っすよ。一般の高校生ですよ。」

「まあ、一般の高校生は警察なんかじゃないけどね。」

「面倒くさい人ですね。」

「上司に向かってそう言えるのは、凄いことだね。」


そう言えば、上司だった。この人。

そんな事考えていると、夏稀さんが苦笑した。

(怖いなぁ。エスパーは。)


「じゃあ、夏稀さんだったらどんな感じで、制圧します?ここを。」


マップ上の赤い点を指差して、問いかける。


「うーん。じゃあ、清雅君が先行して、後からマッチョさんと瞬一君が行けば?そして、女性陣がバックアップするからさ。」


まあ随分と大雑把で、不公平な役割分担ですね。まぁ、良いけど。


「じゃあ、それで行きましょう。別に、臨機応変にバックアップ側が指示してくれれば良いですし。」

「確かにね。瞬一君とか、作戦忘れそうだし。」

「忘れませんよっ。」

「あら、そうかしらね。」

「子供扱いしないで下さい。夏稀さん。」

「はいはい、2人ともじゃれ合ってないで。」


本田さんが割って入る。


「そうね、花梨ちゃんがねそうだし。」


そう言って、ニヤッと笑う。まったく、この人は苦手だ。


「あ、今私のこと苦手だと思ったでしょ。」

「はいはい、思っていませんよ。」


「大丈夫か、このチーム。」


柳さんのつぶやきは、誰の耳にも届かなかった。


「じゃ、乗り込みは明後日だから。準備しといてね。」

「はい、分かりました。それでは。」


そう言って、警察庁を出る。


「ふう、疲れた。」

「ん、同感。」

「じゃあ、帰るか。」


俺らは、帰路についた。




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