第6話 人脈

「これで、登録は修了したよ。」




そう言って本田さんは、俺の警察手帳を渡して来た。


てか、こんな簡単に登録出来ちゃったけど大丈夫かこれ?


「で、俺はどこに配属されるんですか?」




あんまり面倒くさかったら、嫌なんだけど。




「〈蓋世がいせい班〉さ。まぁ、知らないと思うけど。まだ、有名じゃないからね。」




良かった、マイナーってことはあまり仕事がないだろう。でも、蓋世の意味って確か、、、、、


「何故ならば、今創られたからね。」




何だと!わざわざ創ったのか、目立つじゃねーか。




「あ、あと隊長が瞬一君だよ。警察庁けいさつちょう特務課とくむか特殊精鋭とくしゅせいえい部隊ぶたい〈蓋世〉の。」




肩書き長っ。てか、高校生が隊長って終わってんだろ。




「あの~隊長って辞退出来ますか?」




めっちゃ、ダルい。そして、面倒。




「大丈夫大丈夫。ちゃんと補佐が就くし、ほとんど任せて良いからさ。」




だったら俺、要らなくね?もう、何かいいや。




「じゃ、他の隊員については後日紹介するよ。」


「はい。」




一応返事をして、俺は特務課から去った。


あー。何かめっちゃ疲れた。はぁ。





使いなれないスマホを取りだし、電話をかける。




「あ、もしもしアリサ、お盆休み近くに空いている日、あるか?亮太と颯大と一緒に海に行く予定なんだか。一緒にどうだ?」


「いいよ!海行こ、海。」




電話口の向こうから、弾んだ返事が帰ってきた。




「サンキュー。どころで東雲しののめも誘ってくれないか。」


「花梨もね、分かったわ。ちょっと、RINEするから待っててね。」


少しの間、夏のそよ風と戯たわむれた。


「もしもし、花梨と私は8月11日なら大丈夫よ。」




惜しい。8月11日は山の日だ。




「分かった、場所は潮が丘しおがおか海浜公園かいひんこうえんで良いか。」




ちょっと離れているが、有名な観光スポットだったはずだ。




「分かったわ、花梨にも言っておくね。」


「じゃ、頼んだ。」




そう言って通話を終わらす。





俺は帰路につきながら、またスマホを取り出す。




「もしもし、亮太。例の件オッケー出たぞ。8月11日に、潮が丘海浜公園な。」


「マジか!ナイス。8月11日だな。良くやってくれた。」


「あぁ、面倒くさかった。疲れた。後で、アイス奢れ。」


「ゴリゴリ君で良いか?」


「いや、抹茶金時で。」


「わーったよ。颯大にも連絡しとけよ。俺は疲れた。」


「いやいや、お前やっといた方がいいよ。俺、そんなに仲良くないから。」




(じゃあなんで一緒に海行くんだ?)と思ったが口にしないでおく。




「あー理解。分かったよ。」


「ああ、頼む。もう一個アイスいるか?」


「いや、チョコレートで。ミルクたっぷりな。」


「ほいほい、じゃあ頼むわ。」




亮太との通話を終え、最後の仕事に取りかかる。





「もしもし颯太。海の件、8月11日に潮が丘海浜公園な。」


「分かった。僕の方も、予定大丈夫だよ。じゃあ、一緒に行かない?」


「当日?まぁ良いけど。颯太の家は遠いか。」


「いや、自転車で40分くらいかな。」


「なら、朝連絡して俺が颯太の家行くよ。」


「大丈夫だよ。家は遠いから、駅にしよう。」


「分かった。じゃあ。」


「うん、じゃあね。」




これで本日の仕事が終わった。なかなか人付き合いって面倒くさいな。

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