最強高校生は平穏な生活を望む

統星のスバル

第1章 始まり

第1話 平穏

「ここが俺の通うところか。」


県立俊瑛しゅんえい高等学校。周りより少し偏差値の高い普通の公立校だ。改修工事が行われた1年棟だけが、異様な白さを放っていた。


「平穏に過ごせたら良いものだな。」


俺の呟きは桜の花弁と共に風にさらわれた。


眠くなる入学式を終え、担任を待つ間、少しだが会話が生まれていた。多分自己紹介でもしているのだろうが、生憎と隣の女子が居ない。初日早々、不登校だろうか?


しばらくして、担任が入って来た。


「1年3組担任、龍崎 祥弘りゅうざきよしひろだ だ。1年の物理・科学を担当する。1年間よろしく頼む。」


見た感じ、30代前半で眼鏡を掛けている。髪がボサボサであまり教師っぽくない人だった。


「それじゃあ早速だが、軽く自己紹介してくれ。」


そう言うと先生は、意味ありげにこっちを見て、


「じゃあお前から。」


と言った。


「なぜ、俺なのでしょうか?龍崎先生。」

「さあ、何となく。」


面白そうにそう言った。

面倒くさくなったので、自己紹介をしておく。


「えー天河 瞬一あまがわしゅんいちです。好きな食べ物は、まぁ甘いもの全般です。これからよろしくお願いします。」

「はい、ありがとう。次は、じゃあそっちから。」


適当に生徒を指す先生はどうなんだ。と思ったが口にしないでおいた。いちいち面倒なことに首を突っ込まない方が良い。

次々と自己紹介が終わり、クラスメート達が会話している中、まだこっちを見ている先生が気に食わなかった。

自己紹介や学活が終わり、特にすることも無かったので、俺は帰路に着いた。


◇ 翌日

「おはよう、瞬一君。」


登校して席に着くと、前の男子が挨拶をしてきた。確かこいつは、、、


佐々木 颯大ささき そうただよ。よろしくね。」


ああ、そうだった。確かまだ入学したばっかなのに、イケメンだと女子達に騒がれていたな。


「ごめん佐々木君。名前覚えるの苦手で。こちらこそよろしく。」

「いやいや、全然大丈夫だよ。あと、名前で呼んでくれた方が良いかな。瞬一君ともっと仲良くなりたいし。」


まぶしい笑顔と共にそう言われたら、誰もNoとは言えないだろう。だが、周囲から突き刺さる視線が痛い。登校してきた時には、2、3人だったのに今はもう20人近くいる。その中の女子達に鋭い視線いや死・線・を向けられるのは、かなり痛い。


「分かった、颯大君。けど、本当に良いのか?名前なんかで呼んで。」

「?全然かまわないけど。瞬一君は面白い人だね。」


いやいや、全然陰キャで準ボッチ症候群の俺だぞ。黒すぎる髪だって整ってないし、丸眼鏡掛けている俺だぞ。こういう優しさ?(俺にとっては女子達からの攻撃)をもっているのもイケメンの秘訣か。

まぁ、俺の席から去ったので死線も止まったので良かったが。


「よう瞬一、朝から大変だな。」


軽い感じで声かけて来たのは、松村 亮太まつむら りょうただ。昨日ラノベについて語り合った、高校友達第1号。


「ああ、本当に大変だったぞ。お陰で、俺の精神ライフがあと一割だ。」

「まぁ俺が、ラノベ貸してやるから、元気出せって。ほれ、新刊だぞ。」

「お、サンキュー。」


こんな平穏な日常が続くと思っていた。

とある人物が来るまでは。

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