第11話 ネガティブ

今までの私は、ネガティブをいらないものだと考えていた。


人生の時間を、ネガティブな事に使うのはもったいないと思って


いた。


嫌なことがあっても、いい面をみたり、気持ち切り替えて、


さっさと良くなる手を打つ方が先だと思っていた。


ふと、思った。気づかないうちに、私は効率と、利益ばかり優先


したロボットになっている。


自分だけならいいが、自分の子供にも、その方が意味があると


いう教え方をしていた。子供達に無駄なことはしてほしく


なかったし、目に見えた結果を、すぐに手にしてもらいたかった


から。


でも、この考え方だと、自分の気持ちに寄り添えてないから、


結果が手に入らなかった時、自分の今まではなんだったんだろう


ってなるし、結果が手に入っても、もっといい結果、


もっともっととなり、いつまでもゴールできないゴールのように


なってしまう。


私が、自分の今までの価値観や、経験ではどうにも解決できない


壁にぶちあたった時、暗くて長いトンネルの中にいるようで、


どうしていいか分からなかった。


わからないんだから、ほっとけばいいんだけど


「どうして解決できないことが自分に起きるんだ」


とグルグル頭の中を、このセリフが流れてくる。


今までのネガティブな事なら、ある程度ポジティブに転換して


乗り越えられたけど、今回は、そうはいかない。


今思うと、簡単に転換できちゃったら意味がないから、


そういう事が起きたんだと思うけど、その時は、


今までのやり方が上手くいかないから、途方にくれた。


でも、闇のおかげで、自分の外側ではなく内側をみることが


できた。


今まで自分を作ってきた思い、効率とか利益ばかり優先してきた


ことが、


「はたして自分を幸せにしてきたのか?」


「自分にとって無駄って何?」


「自分を幸せにするなんてこと考えたことあったのか?」


「とりあえず、できることだけしてたんじゃないか?」


「まわりの思いに合わせていただけなんじゃないか?」


じゃあ「自分が幸せになるってどんな事?」


自分の向き合いたくなかったネガティブな自分と向き合うと、


いろんな疑問がでて、本当はどうしたいのか?ってことを


否が応でも考えさせられた。


今までは、こういうもんなんだろうなって選んできた人生を


本当は、こういう風に生きてみたかったんだって考えることが


できたのは、ネガティブな考えが自分の中にあるって事を、


受け入れ、認め、それでいいと愛せた時だった。


ネガティブな感情を認め、自分を知り、自分のこうしたいと


思う道を選べば、選べた事ですでに幸せだし、結果が悪くても、


また、トライすればいいと思える。


本当に大切なことは、見えていないことが多い。


この世にある物で、無駄な物なんて一つもないんだと思う。


もし、それがあるなら、目先の利益で目が曇っている時だ。


ネガティブも、認めて愛してあげると、ポジティブだけでは


気づけなかった、根本的な自分の思いに気づかせてくれる。


自分を知る事ができる。


ポジティブもネガティブも、右足と左足のように、私という物を


教えて、支えてくれる大切なもので、どちらかだけがいいという


物ではないと思う。


片方だけだと、やっぱり、歪が生じてバランスが悪くなる。


両方大事にするから、本当に自分の進みたい道に進むことが


できるんだと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る