第8話 スクラッチボード

私は、絵が物凄く下手だ。


小学生の頃は、本当に困った。


確か、6年生の図工の時間に、版画で「思い出に残った瞬間」


みたいなタイトルで絵を書いて、先生の所に、できたら


みせにいって、コメントをもらうみたいな流れで、


私は、友達2人とバトミントンしてる所を書いたんだけど、


それが、どうしても、立体的に書けなくて、バトミントンして


るんだけど、私も含めて、3人が寝ちゃってるんだよね。


バトミントンしてるのに。


ありえない。


立体的に書けなくて、でも、しょうがないから、先生のとこに


みせにいって。


あの時の先生の顔は、忘れられないね。


先生も、ある程度、6年生だからって思って子供達を


みてたのに、あきらかに予測外のを持ってきてたから、


驚き隠せてなかったもん。


今だったら、あの先生の顔笑えるんだけど、


小学生の私は、真面目だから、どうしよう(汗)みたいな(笑)


私が今、声をかけられるなら


「たいしたことないよ。そんな面白い絵なかなか書けない」って


いってやりたいくらい。


学校っていう狭い世界で、自分を確立していかなきゃいけない


から、どうしていいかわからないんだよね。


私にとっては、自分の作品より、あの時の先生の顔のほうが、


「思い出に残った瞬間」でした。


先生に、「面白い顔みせてくれてありがとう」って言いたい


くらい。


そんな私でも、百均に売ってるスクラッチボードは、なんとなく


上手く見せてくれるから、お勧めです。


あの、黒いボードを削っていって、下からいろんな色が見えて


くるとワクワクする。


そして、削ってて思った。


これ、人の魅力や才能と同じだ。


自分には、何もないと思って削らなければ、黒いボードの


ままだし、何かあるかもと、少しでも削れば、必ず何かが


出てくる。


それも、どんな色が出てくるかは、削るまではわからないのだ。


最後に、全体の作品としてみるのもいいし、


毎回毎回の、一削りずつ


「どんな色がでてくるかな?」


と楽しむのも、また、いい。


これを読んで下さった方にも、たくさんの楽しい事が


ありますように!




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