胎盤とミルクセーキ
石河檸檬
第1話 レストルーム
「ねんねんころりよ、ねんねんころりよ」
私はそっと、「はやく寝なさいね」と囁くように、顔上半分を撫でられる。半ば強制的な手法で寝かし付けてくるんだね。子守唄は「ねんねんころりよ」しか知らないようで、随分とシンプルな構成である。永遠と「ねんねんころりよ」の繰り返し。
それでもその暖かくて慣れた香りの手のひらに一撫でされてしまえば、自然と眼球に瞼が被さるものですね。まるで、緞帳がゆっくりと下ろされるように。
つまらないでしょう。人の幼少期の記憶を聞いたって。そういうものよね。あ、そうね、いい事を思いつきました。今から貴方の自分語りの時間を設けます。次の話に進む前のこの空白。ここは貴方の幼少期の一片を思い出すレストルームにします。
嫌な思い出があるなら、それは無理に思い出さなくても構いません。休みたくなければ、休まなくてもいいのです。
それではまた。
今日は疲れたので、私はこのまま眠りにつくことにします。
ああ、意識が遠のいていく。おやすみなさい。
胎盤とミルクセーキ 石河檸檬 @marmalade_pool
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。胎盤とミルクセーキの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます