プロゴルファーガニマタ!Ⅱ

ITSUMONO

第1話 プロゴルファーサ〇との対決!!


私はこのフェアウェイで怒りに満ちていた。なぜならこの私が10年前の女子プロゴルフの賞金女王でありながら、最終決戦の相手が猿だからだ。とはいえ、容姿が猿のような人間ではなく、本物の猿だ。こんな大会に動物が出場するなんて、信じられない。


しかも、猿でありながら、人間のキャディーをつけていたり、カートを使わずに木々の間を飛び移って移動していたり、芝の読みを一生懸命やっていたりする。参加しなければよかったと後悔していた。


半年前、私はある正体不明の人物からメールを受け取った。最初はスパムだと思い、ごみ箱にポイしていたが、それを何度も繰り返すうちに、ついには直接アパートの前に現れた。


男は全身を包むようなスーツを着ており、丸いサングラスをかけ、フェイスマスクで顔を覆っていた。不審な人物に見えた。


「うるさいな。1日に何度も警察に通報するぞ!」


「私には警察など、下部の組織の力は及ばないのだ。ククク…。やりたければやってみるがいい」


「何だって?夏バテか、家庭内不和か知らないけど、他人に迷惑かけることは良くないぞ!ストーカーか?」


「断じてストーカーなどしているわけではない!」


「じゃあ、何なんだ?宗教?オレオレ詐欺の新バージョン?怪しすぎるなら、名前くらい名乗ったらどうだ?」


「フフフ、よろしい。私のような知性と高貴な者が、その名前を簡単に出すことはできない。私はミスターZ、またはミスターイトウと呼ばれている」


「あの、伊藤さんって呼んでもいいんですか?」


「あ!」


「あ!じゃねえよ!インテリジェンスで高貴ならもう少し頭使えよ!」


「今のは削除しておいてほしい.....」


「そんなパソコンみたいに簡単に削除できるか!もう来るなよ!」


「待て!賞金1億が欲しくないのか!!」


「えっ1億!」


お金大好きな私はこの言葉に弱い。そう10年前は女子プロゴルフ界で賞金女王だった私 藤田クミは賞金という言葉に滅法弱く、稼いだ賞金を、競馬競艇競輪、宝くじ、〇〇〇賭博等賞金と名の付くものに全て投じてしまう癖がある、自分でも分かるが正直病気だ。ちなみに好きな場所はマカオ、ラスベガス、船橋競馬場。


博打ばかりにのめりこんでいた私はトレーニングを怠り、あとは想像通りの転落人生、自己破産寸前状態。6畳1間のアパート暮らしでその日暮らしのレッスンプロだ。


「フフフ、クミ君!君の弱点がお金だという事はリサーチ済みだ!どうだ現金で1億!この響きに君は勝てるのか!」


「ウッ......」


「その呻き声!YES!!高〇クリニックと受け取っていいかな?クミ君?ククク......」


「あっこの野郎!私が不細工だからそんなショーモない冗談言ったな!!」


私はこの不審者に回し蹴りをしてドアを閉じた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る